第22話 魔術
次の日
母さんにめちゃくちゃ叱られた。なんで家を出るときに起こさなかったのかとか聞かれまくったし、それにしてもまさか父さんが母さんに違う場所を言っていたなんて
父さんが言うには、母さんは俺に過保護らしく少しでも傷を負えばすぐに助けてしまう、それでは困難に打ち勝つことなどできないということで西の
「師匠、今日は何の魔法を教えてくれるんだ」
俺はいつも通り師匠に今日教えてもらう魔法を聞く
「今日は斬撃魔法を教えるよ」
「斬撃魔法か」
斬撃か、どんな感じなのかな
「手本を見せるからしっかり魔力視で見るんだよ…、スラッシュ」
師匠が魔法を唱えると白い薄い魔力の塊がクロス状に飛び、木を切断した
「お~すごいな、当たったら確実に死ぬな」
「確かに真っ二つにできるね」
「やったことあるの」
「…うん、つい最近ね…」
なんだろう、この空気…何か話題を変えないと
「それでさ、この魔法はどんなイメージでやるといいの」
「そうだね…透明な剣を飛ばすイメージというか…ウィンドスラッシュのイメージというか、この魔法に関してはイメージが人それぞれだから何とも」
え~だったらなんで教えようと思ったのさ
「透明な剣を飛ばすイメージか…スラッシュ」
唱えると木に傷は入ったものの…
「弱、こんな魔法いつ使うのさ」
「ま、あとは練習あるのみだよ…あとはイメージの良し悪しもあるしね」
イメージか、待てよこっちの方が威力出るんじゃね
俺は再び木に手のひらを…いや中指と人差し指を伸ばし親指をピンッとたて指鉄砲を作り、唱える
「解」
その瞬間、木を横断し切り倒した。しかも一本や二本ではなく五本切り倒した…
ヤバすぎ、さすが史上最強の術師…まてよ、魔法はイメージさえあれば何でもできる、現に術式を本物よりも弱いとはいえど使えた。そしてこの世界には結界魔法がある。つまり、領域展開も再現できる可能性があるということ、他の術式も
再現可能…
「アラン君!アラン君!」
「あ、ごめん師匠考え事をしてた。それで何の話だっけ」
「だから何をイメージしたのかって聞いたんだよ」
この世界には小説はあっても漫画はないからな、どう伝えよう
「なんかこう、ぶわーって感じです」
「だからどういう感じなんだよって言うツッコミは置いといて、まあイメージは
人それぞれだからこれ以上あれこれ言及しないよ」
イメージは人それぞれか
「最近は魔術が勢いづいてるから、もっと魔法の訓練をしないとね」
「師匠、魔術って何」
魔術、この世界では初めて聞いた。前世ではアニメで魔法の代わり的な立ち位置だが、この世界ではどうなんだろう
「魔術って言うのは簡単に言うとイメージを必要としない魔法みたいなものだよ」
「イメージがいらない魔法って、それ魔法とは言わないんじゃ」
「だから簡単に言うとそうなるだけ、詳しく説明すると魔術って言うのはイメージの代わりに詠唱という呪文を唱えるんだよ」
「詠唱ね」
なんか意味ありげな言葉をぼそぼそ言うやつか、アニメにもあったな意外と
かっこいい詠唱もあるから馬鹿にできないんだよな
「師匠は魔術とか使えるの」
「一応ちょっとだけ使えるけど、詠唱中は隙だらけだし声に出すから位置もバレる。魔法ならイメージして魔法名を言うだけで使えるし、イメージがより具体的なら
魔法名を言わずに使えるし、魔術はイメージが苦手な人の救済処置のようなものだというのが昔の認識だね」
「昔のってことは今は違うの」
「うん、さっき言った通り魔術は詠唱が必要だけど、魔術式を直接どこかに書いて、それに魔力を流すと詠唱を省略できることと即時に発動できることが判明して魔法界に激震が走ったんだよ」
「魔法界?」
「魔法界って言うのは別名、魔法協会、魔法ギルドとも言われている政府公認の魔法を広めることを目的に活動している組織のことだよ、これも言ってなかったけ」
「聞いてない初耳」
師匠はこういった大切なことを教えてくれないのが唯一の難点なんだよな
俺はそのままため息を出す
「さっき言ってた魔術式ってなに、まずそれの説明をしてくれないと」
「魔術式、術式とも言われていて、一般的には円に魔法文字を用いて構成されていて珍しいものなら古代文字、ルーン文字で構成されていること見た目が計算式のようにも見えることから魔術式って魔法界では言われているね」
「なるほど、俗にいうアーティファクトって言うのは古代文字で作られた術式という認識ってあってるかな、師匠」
魔術か、魔法とは違ってもいるし似てもいる。さっき術式を直接書くということは
あの錬金術の漫画みたいに錬成陣を手袋とかに書いておくことで炎を出したりできるってことか、魔法でも異次元レベルの魔法を発動させるために魔法陣を用いられたことは知っているけど、危険すぎることで禁忌にもなった。
「あってるよ、術式の登場によって魔法、魔術を使った道具が最近かなり増えてきたこともあってか、魔法界の上層部も小さいものにしか使えない転移魔法の魔法陣を復活させているし、はぁ…これ以上はさすがにないだろうけど」
「何でため息を吐くのさ、師匠にとって魔法の発展は嬉しくないの」
「うれしいけど、次の王国と帝国の戦争はいつもの規模じゃないことが確定しているのがね」
毎年の恒例行事とも言われてしまっている。ツザンヌ王国と、ザシュトゥー帝国による乱戦平野で起こっている戦争…もう二十年ほど続いており、この戦争が始まったのは帝国が勝手に領土を宣言し他国の領土の一部に食い込んでおり国際的に認められた領土でもないため無効だというのに帝国の民がそこに住んでしまったことで、王国をふくめ隣接する他国もそれついて訴えたところ、最終的に実力行使になったとのこと、なんとも面倒なことだ
「こんな話よりも、アラン君、冒険者になる気はないかい」
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