第21話 ただいま
そんなことを話しながら歩いていたら村に着いた、日時計を見るあたり今は八時、魔物を狩りに出発してから四時間も経過していた。一番の驚きが森にいた時間が一時間以下だったということ、森に入ってからはスライムを探したり、殺し合いをしたり
…いや、それを考えるのはやめよう
「アラン!」
その声を聞いて前を見ると、こっちに誰かが走ってきているのがわかる
「ただいま、…母さん」
母さんはそのまま俺に抱き着く
「心配したのよ…ねぇアラン、馬にうつぶせになって乗っているのは誰、私の見間違いじゃなければ」
「父さんだけど…」
あ、今の母さんガチギレ状態だ。おいおいおい…あいつ死んだわ
母さんは一歩一歩重い音を出しながら父さんへ近づく
「父さん今気絶しているから、何か言うなら起きてからにしない」
「アラン…知ってる、生物は気絶している間に焼かれても痛みを感じないのよ、アランも後で説教だから」
「え」
母さんは笑いながら言う、逃げたら殺される
「えっと、カレンさん…話はひとまず家についてからにしませんか」
「そうね…そうしましょう」
そのまま、家に帰り母さんは父さんを馬から下ろし、二階の寝室にあるベットに寝かせる
「アラン、家に帰ってきたのに何も言わないの」
「母さんいうも何も、あ……ただいま」
「おかえり」
母さんはいつも通りにその言葉を返してくれた
それから一時間半後に父さんが気が付いた。一応医者も少ししたら目覚めると言っていたから気にしていなかった
「それであなた…いえダラス、どうして私に嘘をついたのか説明してもらえるかしら」
母さんはドスの利いた声で言う。怖すぎる、一瞬ドラゴンにも見えてしまうほどだ
父さんは終始無言のままかと思ったところでやっと話した
「いや、あのですね…アランはもう……」
「早くその言葉をしゃべってください、あ・な・た」
父さんは怖気ついて全く喋れていない、俺とフォルティスさんもその場にいるはずなのに完全に空気になっている。父さんファイト、頑張って
母さんに関しては目が笑ってない、この空気に押しつぶされそうだ
「アランの強さはカレンも知っているだろう」
「それでもまだ経験の浅い子供です」
「だから経験を積ませようと」
「五歳の子供にですか」
「……」
父さんは完全に言葉が詰まってしまった
「アラン」
「はい!母さん…どうかなさいましたでしょうか」
「体のどこにけがを負ったのか教えてくれる?」
「えっと、背中から腹までナイフが貫通しました」
それを言った瞬間、空気が悪化したのを感じた
「それは本当なのね」
「はい…事実です」
「あ・な・た」
「ア、ハイ…」
いままでに聞いたことない父さんの弱々しい声
まずい、今の母さんはまずい…少しでも止めようと動けば殺される
「アラン」
「はい!」
「あなたにも話したいことがあるから逃げてはダメよ」
おいおい、わりぃ、俺死んだ
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