第8話 冗談

「アンティーク村のことはお前に任せる」


「は?何言ってんの?」


 正気か、冗談でも笑えないぞ


「だからお前に任せると言っている」


「いやいや「お前に任せる」って言ってるけどなんで俺なんだよ、ギルマスや警備騎士団長に任せればいいだろ」


 いくらなんでも五歳の子供に村を守らせるのは無理難題だ。いくら警備している騎士や冒険者がいるにしても俺には無理だ


「すまないが男爵には借りがある上に約束でもあるのだ。引き受けてくれ」


「たとえそれで多くの人や自分の愛する妻を失ったとしても?」


「ふふ…あっはっはっは!まさか自分の子供にこんなことを言われるとは」


「笑いごとじゃねぇ…」


 冷静になれ、父さんは頑張れば説得可能だ


「父さん、男爵様と父さんの過去に何があったのか知らないけど大切なのは今だ」


「確かに五歳なのに大人びているお前が言うのであればそれは正しいのかもしれないだが、私はどうしてもレステル男爵の頼みを聞きたいのだ」


「そんな…」


 おっさんの歳してなんて真っ直ぐな目をしやがる。こりゃダメだな…


「なんてな…」


 は?


「今のは冗談だ、ほら手紙をよく見てみろ、いったいいつどこで助けてほしいのか分からないのでは助けようがない


 この…


「このクソジジイが!!!!!もういい、早く飯食って寝るぞ」


 ふざけるなよ…手紙をよく読んでなかった俺も悪いがここまでからかわれちゃ腹がって仕方がねぇ…




 その日の夜


「あなた、まだ幼いアランには冗談が通じないと分かってるでしょう。なぜからかったのですか」


「いや、さっきアランに話した内容の半分は事実だ」


「それって、つまり帝国の残党兵がいるのは」


「それは違う」


 残党兵は嘘だが


「私がレステル男爵の元へ行くことや、村の襲撃の可能性、襲撃されるのも事実だ」


「アランに何をさせるおつもりですか!いくらあなたアランを危険にさらすのは許しませんよ!」


 何という気迫、昔ともに戦った身とはいえどこれには慣れないな


「う…まあ確かにカレンがアランを思う気持ちも分かるがこれはアランのためだ」


「詳しく聞かせてもらえないとアランのためなのか判断できません」


「簡単に話すと、アランに実戦という名の一種の模擬戦を体験させてやりたいのだ。アランは五歳だというのに実力が五歳児ではない。ここでアランが思っている実戦を模擬的に体験させてやればきっとかなり伸びるの違いない」


 パンッ!と音が鳴るほどのビンタをカレンだダラスを叩いた


「あなた正気ですか。もしかしたらアランがそれによって誰かを傷づけられることや戦いにトラウマができてしまいいざという時に自分の身を自分で守れないくなってしまうかもしれない」


「確かに厳しいのかもしれないが、これを乗り越えられたらアランは立派な剣士になれる。心配しなとももしもの時は私が介入してアランを助ける。カレンも魔法を使ってアランを助けてもいい」


「あなたの理想をアランに押し付けないで!あなた自分の夢をアランに叶えさせ自分が満足したいだけ、アランは自分で夢を作りそして叶えるのです!アランはあなたの操り人形ではありません。冷静になって考えてください」


 確かにカレンの言うことにも一理あるうえに理想を押し付けているのかもしれないだが

「今からでも手紙を転移魔法で送れば間に合います」


「無理だレステル男爵が残党兵を装った兵士を手配してある。だからもう後には引けない」


「男爵はそんなことをなさいません」


「将来有望ともいえるほどに才能、いや成長速度というべきか、アランは三歳の時にはレステル男爵と普通に話せていた。それにカレンも知っているだろう…レステル男爵は有能の者に目がないことを」


 レステル男爵は有能な人材には目がない。それも目の前にいるのであればなおさら欲しくなる

 さらに成長させれば私を超えた剣士にもなれる…悪く思うなアラン





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