第7話 残党と人質

「ただいま!どうしたの父さん母さん揃って手紙を見るなんて珍しいね」


「アラン、お帰り…帰ってたのか」


 元気がない父さんなんて珍しい、また戦場へ行くのか


「どうしたの父さん、元気ないのか、母さんその手紙読んでもいい」


「ええ、いいわよ」


 さてさて内容は…

 拝啓ダラス殿、いかがお過ごしだろうか、何気ない平凡な日常をお過ごしならとても喜ばしい限りだ。前置きはこの程度にして本題に入らせてもらう。

 実は先日、王国と帝国との戦争で、帝国兵の残党がこの地域へ逃げたという報告が上がってしまい、そこで貴殿の力をお借りしたいと思いこの手紙を出させてもらった。無論それ相応の報酬は約束するのでこの願いを引き受けてくれるとありがたい。


 帝国ね…俺たちが今住んでいるのは王国のレステル領地の農業を主にしている地域に住んでいる。帝国は中央にある王国の右側に隣接している国の一つであり、王国とは比にならないレベルの領土を持っている強国。


「帝国の残党兵の掃除をしてほしいのか、これくらいなら父さんなら簡単にできるでしょ」


「確かに簡単だが最後の方を見てほしい」


 最後?


「なになに、その残党兵の中に人質思われる王国貴族の子供がいるから救出を手伝ってほしい」


 なるほど、確かにこれは難しい、人質がいる以上不要に動けない上に例え救出できてもそこから無事に守れるかは話が変わってくる。


「父さん、なんで貴族の子供が戦場にいるんだ」


「子供といっても成人しているからな、自分の領地と民を守るのはその土地を保有している貴族の役目だからな、貴族として生まれた以上、多くの者が避けては通れぬ道だ」


「二人とも、ご飯ができたから覚める前に食べるわよ」


「わかってるよ母さん」


 人質の救出ね、面倒だがそれ相応の報酬が気になってくる


「父さん、それ相応の報酬って何だと思う」


 この世界にまだ疎い父さんの考えを基準して考えるしかない


「そうだな…基本的には金が主な報酬になるだろうな、帝国の残党なら規模がどれほどなのかにもよるが」


 規模、まてよ…さっきの手紙には人数、規模が書いてあってない…まさか


「父さん、受けないほうがいいよ」


「何故そう思うんだ」


「人数と規模が書いてあってない、本当に頼んでいるのなら規模がどれくらいあるのか書いてあるはず、それに残党と言っても戦場を生き抜いている。父さんがここを離れたら村の住人を守れる主力戦力がいなくなる」


 ただ…男爵には恩がある。名前もそうだが俺が常に左腕につけている腕輪、これは男爵が俺の三歳の誕生日にくれたもので拘束魔法や精神支配、攻撃の影響を軽減する効果が付与されている。よそのガキにここまでする貴族はゼロと言っても過言でじゃない。


「確かに、アランの言うことにも一理あるな…だが、もしかしたら規模が書いてあってないのはそれほど大したことじゃないのか、すぐ知らせることに頭がいっぱいなのかもしれない」


「たとえそれでも重要な情報を伝えないほど男爵様も無能じゃない、父さんをおびき出すための罠かもしれない」


 俺は稽古を実戦経験はなく魔法は知識があるだけで使えるわけじゃない


「たとえ罠でも問題はない」


「何かいい作戦でもあるの」


「アラン、このアンティーク村のことはお前に任せる」

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