第6話 成長速度

 アランに稽古をつけ終わった後のこと



「なあ、カレン」


 長い時間をかけて紅茶を飲み終わり、話を切り出す


「どうかしたの、あなた、猫舌だから紅茶は冷ましてあるでしょ」


 しんみりとした表情をするダラス


「今日もアランに稽古をつけたんだ」


「それが一体どうしたのですか、いつかアランを立派な剣士にすると息巻いていたではありませんか」


「ああ、確かにそういった、だが気になる点があってな…」


「気になる点とはいったい…あの子は普通の子ですよ」


 確かに、アランは普通の子だ…だが


「あの子の成長速度がおかしい」


「成長速度ですか」


「アランに稽古をつけて今日でちょうど半年だ、それなのにアランは私が気絶させる気の一振りを簡単にいなしたのだ」


「とても良いことではありませんか」


「カレン、君の言う通りとても良いことだ。しかし本来ならば剣を握って半年であそこまで成長しないのだよ、いくら何でも速すぎる、まるで生まれるよりも前に剣を握っていたみたいだ」


 半年前…初めてアランに剣を握らせたとき、既にあの子は剣の構え方を知っていた一体…いやアランは私とカレンの子だ。こんなことを考えてはいけない


「なら今度アランに魔法を教えてあげましょうか」


「カレン、確かにあの子はもうすでに教えてもいない魔力の存在に気づきつつある。だがアランに魔法の素質があるとは、とても…」


「あなた!アランをそんなのふうに思っているの!」


 カレンは顔を膨らませて怒る

 私の妻は怒っても可愛いのだから困ってしまうな


「アランに魔法は早すぎる、確かにアランは読み書きを覚えるのが早かったが、魔法はイメージが必要だ。まだ五歳のアランには複雑なイメージはできないだろう」


「分かりましたよ、はぁ…アランは賢いからすぐに使えると思っているのに、っあさっきレステル男爵から手紙が届きましたよ」


 カレンはダラスあての手紙を渡し、一緒に内容を見る。


「あなた、これは…」


「断りたいところだが」




 ガチャとドアのかぎが開く音がし、ギィィィとドアが開く音が響く


「ただいま!」


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