第2話 死因と転生
「世の中うまくいきませんね」
はぁ…と、ため息をつく女神、だが俺は今知りたいことが他にある
「なあ、俺の死因はなんなんだ」
俺がそう聞くと女神は、ちょっと動揺した
「あなたの死は予想外のものでして」
「つまり分からないということか」
問い詰めるように聞くが
「いえ、そういうわけではありません」
冷静に即否定された
「じゃあ俺の」
「あなたの死因は、投身自殺に巻き込まれただけです」
質問よりも先に答えられる
「その自殺したやつはここにいるのか」
全く、そいつに何があったのか知らないけどこっちは15歳で死んでるんだ、何か一言言わないと気が済まない
「その人は今49日ですので具体的どこにいるのかは何とも」
「は?」
予想外すぎる答えだった
その場合、俺も49日でそいつと同じ場所にいるはず、つまり49日がない、ということは国によってあの世が違っていて俺は何らかの理由で外国の
「いえ外国どうこうより、あなたは現在異世界にいるんです。言ってしまえば異世界と元居たあなたの世界と狭間ともいえる場所に、あなたが完全に死んでしまわないうちに魂を抜き取ったのです」
冷静に淡々と卒業式の全く感情がこもっていない在校生の別れの言葉のように話す女神
なるほど、信じたくはない話だがどうやらそうとしか言えない、通りでここには、俺と女神しかいないわけだ
「それで、俺をどうしたいんだ」
「やっと本題に入りましたね」
また女神は、はぁ、と、ため息をつく
速く本題に入りたいのならそっちから切り出せばよかったのに
「それで、本題は」
「はい、まずあなたをこの異世界に転生させます」
なに、こいつ…急にノリノリになって話し始めるじゃん
「なんで俺を転生させるんだ」
漫画やアニメみたいに
「あなたに世界は救えないのでご心配なく、あなたを転生させる理由につきましてはあなたが15歳で死んでしまったので慈悲でもう一度人生を与えるのです」
恩着せがましくいう女神
転生ってことは
「チートスキルは与えませんよ、そんなことしたら、あなたが世界を滅ぼしてしまうかもしれませんので、それにあっちの世界ではスキルは技術という意味ですので、あしからず」
そんな都合よくいかないか
「あたりまえです」
「さっきから人の心読むのやめてもらえないですかね、め・が・み・さ・ま」
プライバシーのプの字もない女神だな
「あなたを転生させる世界ですが戦争はもちろん賊や魔物がいるので気をつけくださいね、失敗したら謝ります」
「は、なに、失敗するの」
失敗したら鉱物と生物の中間の生命体みたいなるのか、それだけはごめんだぞ
「やったことがないのでそこは目をつぶって下さい」
「つまりあんたは、俺で試験運用したいんだな」
「というと」
…そこは反応してほしくなかったよ、女神様
「女神様、さっき一回もやったことがないと言いましたよね」
「はい、そうですがそれが一体どうしてあなたのような人間を」
「あんたは自分が一人の人間を転生させられるのかを試したいんだ、そして転生者が生まれた世界はいったいどうなるのか、あなたはそれ見たいのではなくて?」
この推測ができればハズレであってほしいと思ってしまう
「ふふ、なかなか面白いですが、ハズレではありません3割ほど正解です」
3割…か、何とも言えないな、まあ転生できるかもしれないんだし…あっそうだ
「あと二つ聞きたいことがある」
「何でしょうか」
この二つの質問でどうなるか…
「なんで転生させる人が俺なんだ、試験運用ならあの投身自殺をしたあの野郎じゃないのか教えてほしい、あいつは自殺するほどこれから先の人生に絶望していたんだ、
転生とかいう旨い話が出たのならすぐに食いついて、とんとん拍子に話が進むと思うんだが」
「簡単です、彼の精神が衰弱しきって使い物になりませんから」
使い物、まあ神様からしたら人間なんてそんなもんか
「なら二つ目の質問、異世界の神様は何柱いるのか詳しく教えてほしい」
日本神話やギリシャ神話だけでも神がたくさんいる、異世界でも同じなのかどうか
「詳しくとはいきませんが私含めて、豊穣の女神、戦の神、聖の女神、悪の神、魔法の神、全知の神、全能の神、そして私輪廻の神、の八柱です。今言ったのは、あの世界で信仰されている神の代表例に過ぎないのでご注意ください」
八柱か、それにしても戦の神は戦いで勝利を得るために信仰するとして、なんで悪の神が信仰されているのか…
「雑談も終わったので転生させます、次は悔いがないように生きてください」
「へいへい」
女神が右腕を伸ばすと白く光りだす
まぶしく目が覚めると…
「
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