幽閉
時間の感覚が数秒にも数時間にも感じた。一人目の死体が全て受肉しては消えて、今度は残り二つの骨が先ほどと同じように受肉して行く。
どうやら後の・・・いや、遡っているので先のこの二つの頭蓋骨は「双子」だったみたく、二人は受肉後、普通の人としてずーっとこの小屋の中で過ごしている。二人がここに『幽閉』された辺りで『逆再生』は止まり、ビデオテープのように通常再生がスタートされた。その面容は子供の姿だった。
断片的に視えるこの双子の動きで推察していくしかないけど、定期的に食料が投げ込まれているようだった。
「これは・・・一体??」
・・・梓さんが何も話さない。ボクの千里眼をサポートするのと口寄せの両方を同時に行うには、流石に他の意識は向けれないのかもしれない。ボクは引き続き双子を見守っていく。
何かを拾ってそれを口に運ぶ動作は食事だと思う。でもそれ以外は特にこれと行った動きはなく殆どが寝ている。二人で何か言い合っている時もあるが、声は聞こえない。古杣さんが居れば聞こえるのだろうか。
髪はどんどんと伸びていき、風呂に入れることもなく肌や眼差しもどんどん曇っていく。
季節は冬になったのだろう。二人は抱き合い必死に暖を取っている。
そして春が過ぎ、夏の炎天下。
二人は暑さで虫の息。脱水症状が出てきている。
そうして、そのまま二人ともが動かなくなり、腐り崩れていった・・・・・・
次は一人目の・・・いや三人目の『収監者』がやってきた。
それは高齢の老婆だった。
小屋の扉を叩き、必死に足掻いて泣き叫んでいる。時には怒り、そして悲しみ、ブツブツと独り言を呟いている。
足元の双子の骨を見つけ、穴を掘り埋めて拝んでいる。
来る日も来る日も拝んでいる。
やがて拝みながら、老婆はいつの間にか死んでいたようだ・・・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます