クレア・タンジェンシー
「・・・ああ、あんたが”あの”?!」
「そうだよ桃華ちゃん。この子があの
「へぇー、いいなぁ」
「なにが?」
「のぞき見し放題やん!」
ボクは少し気まずくなった。
「いやいや、そんな使い方?!」
「あんたやったら四六時中のぞきしてるよな」
「見れるだけじゃあ・・・ねぇ、千鶴ちゃん」
二人の会話のやり取りはどうしてもまるで漫才のように聞こえてしまう。シャルは話を逸らすようにまたいやらしい目でボクにフッてきた。
「い、いや汗、結構、集中が必要だから変な気になる余裕なんてありませんよ?」
「そうそう、桃華ちゃんはまだ聞いてないだろうけど、千鶴ちゃんも大変な苦労をしてここに来たんだからね?」
「分かってるわーそんなん言われんでも。ここに来てるみんなが色々と、そんな、こんなやろ?」
「あ・・・じゃあ、桃華さんもなにか力があるんですか?」
「ああ、そやで。何の役にも立たんけどな」
「えっとね千鶴ちゃん、桃華ちゃんはね・・・・・・」
「あ、待って」
桃華さんはシャルが説明するのを止めて、手にしているお皿に乗った大福を直接、触りだした。さっきシャルが渡していた物だ。
「・・・えーっと、中にグレープフルーツの果肉が入っているわね」
そう言って大福を一口かじる。断面を見せてきて笑顔を見せた。
「・・・え、ちょっとわかんないですね汗。お餅が上下引っ付いて中身が見えませんし・・・・・・」
「あ、ああ?・・・あらほんまや。えー、じゃあちょっと待ってぇ」
桃華さんはそのまま大福を全部食べて
「うまっ!シャルこれ美味いわぁ。餡子の甘すぎるのを酸味が中和してくれながらも、イチゴ大福よりも餅と餡子を引き立たせてくれてる感じ!」
「でしょ?ありがとう」
「こし餡のがいいんじゃない?」
お手拭きで手を拭いて
「ちょっとごめんねぇ・・・・・・」
ボクの顎から頬にかけて、両手で覆うように優しく触れてきた。その瞬間、桃と葉の香りで恍惚な気分になり、ボクはなすがままに。
桃華さんは両目を瞑って集中している。すぐ、間もなくして
「・・・え?!あんた男の子なん?!」
「え?・・・あ、はい、一応は、そうなんです」
「なんやぁ、全然分からんかったわぁ。えぇー、すごい、かわいいー♡」
ボクは顔が真っ赤になっている温度を自分で感じた。
「まぁ、こんな感じで、うちは触ったモノの何か一番強い思念を感じる、これをここの人らは『霊触感能力』って言うねんて」
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