Dom/Subユニバースっぽいやつ【ゆらささ】

【Attention】

・Dom/Subユニバースの理解が浅い

・世界観が謎

・中国語の知識は皆無

・自動翻訳や発音検索などインターネットの助力を得ての産物

・説明をしているように見せかけて、読み手が一通りの知識を持ってる前提

・広い心で読んでね



 由羅はヂュダオ、捧はシュンツォンである。

 この世に存在する、男女にとどまらない第二の性別は、三つに大別される。支配したい、相手を守ってあげたいという欲求が強い『主導』。逆に支配されたい、相手を信頼したいという欲求が強い『顺从』。そしてそのどちらに傾いてもいない『ヂョン立《リー》』だ。中には両方の性質を併せ持ち、きっかけがあれば『主導』にも『顺从』にもなる『チエファン』もいる。

 さて二人は今寝室にいた。『主導』と『顺从』は互いの欲求を満たしあうための特別な行為に及ばんとしている。補いあえる性質を互いに持っているのだから、どちらかが言い出せばいつも応じる。

「準備は?」

「いいよ」

 寝台に腰かけた由羅と、手前で立っている捧との距離は、大股の三歩分ほど。二人の間には、弱めの照明では払いきれない淡い闇が長く横たわっている。由羅は軽く息を吸い込み、独特の発音で単語を口にした。

「『来て』」

 ライ、というその音が聞こえれば、捧が意識しないうちに足が動く。一歩二歩と前へ、見えない糸に引かれるように。すでに心臓はどきどきとうるさく、皮膚の下を熱い血が走っていくのを感じた。

 『主導』が『顺从』に出す短い指示の言葉――『ミンリン』は、かつての昔に生きていた者たちが使っていた言葉だという。妖怪の耳にはあまり聞き慣れないが、普段使っていないからこそ、こんなとき心身に強く響くのかもしれない。

 足を引きずるようにして歩いていく。そして両膝を床について座り、彼を見上げた。

 ひとたび何かの指示を受けると捧は、何も言われなくても自然にこの姿勢になってしまう。『顺从』が待つときの姿勢で、従順な犬の動作にも似ている。地に膝をつかせる『跪下おすわり』の文は『命令』のうちでも基本に数えられるものだ。

 ただ、由羅はこの「おすわり」が好きではない。今日もやはり、

「『站立立って』。……そう、こっち」

 姿勢を変える『命令』が下って、体の横に置かれていた彼の右手は、前へ差し出され開かれた。

 重たい体を持ち上げて、よろりと立ち上がる。色白の骨ばった指先に導かれるまま、膝を柔らかい布団に沈ませ、由羅の腿にまたがるかたちで腰を落ち着かせた。内に抱く熱がさらに増す、互いの息遣いも感じ取れる距離の近さだ。

「『好的いい子』。ちゃんとできてる」

 とんとんと背中を叩かれながら受け取る褒め言葉は、平時では考えられないくらい甘い。脳を直接揺らしてくる。

「まだいける?」

「……いける」

「うん。じゃあ、『見て』」

 菫色と金色がかちりとぶつかる。由羅は目を外さないまま、次の指示を与えた。

キスして

 捧はひとつ頷き、肩に手を置くと、鳥がついばむように軽く口づけた。間を置かずにもう一度押しつける。そしてゆっくりと離れると、由羅は感情がいっぱいになったような息をつき、細くも筋肉質な体を抱きしめた。

「『好的いい子』!」

「……ん」

 耳の内側がふわふわする。幸福、安堵、快感、そんなもので満たされていく。もっと、もっとだと貪欲さが頭をもたげて、折よく問われたのはまさに考えていたことだった。

「足りた? それともまだ? 『言って』」

「……もっと、ほしい」

「何が?」

「……くぅ」

 悔しそうに、少し苦しそうに、そして少し嬉しそうに複雑な声を上げ、由羅の耳元に口を寄せて囁いた。

「…………うん、『好的いい子』。『滚动寝転んで』」

 捧の体が横に傾いて膝の上から滑り落ち、布団に投げ出された。全身の力は抜いて、目だけで訴えかける。

 由羅は妖艶に笑い、接吻キスを降らしながら服の隙間に指を這わせたのだった。

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