第2話 両親

「箱から生まれた箱太郎、ってコト?」


 両親は無言で頷いた。

心配性な母と気の弱い父は先ほどから目を伏せている。

私の出生について何かやましいことでもあるのだろうか。

自分から聞くのは気が引ける。


 これまでは気にしないようにしてきたし、小学校の宿題で自分の名前の意味を調べなければならない時は、姓名判断に従ったから意味はないと書いて提出した。

ずっと知りたかった私の秘密。

それを私は、今日ついに知ることができる。

両親が教える決意を固めたのだ。

18年待った。

今更少しだけ伸びても気になりはしない。

私は家族三人で無言の時間を過ごした。


 そして、やっとのことで父が口を開いた。


「お前は、俺たちの本当の子供じゃないんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る