第52話 黄色

 未来は妃子達と買い物に行った翌日、予定が無かったので朝からダンジョンへやってきていた。


 昨日は帰った後に弟の海智の愚痴に付き合った。それで溜まったストレスの発散も兼ねている。

 海智はエスカレーター式の私立の中学なので受験は無いのだが、進学校なので夏の勉強合宿があるらしく、夏に旅行に行く未来を羨ましがって愚痴をこぼしていた。

 どうも最近は勉強が忙しく彼女と遊んでないらしい。

 そこは、未来は彼女ができた事がないのでなんとも言えない所なので苦笑いで話を聞いてあげたのであった。


 という事で、未来はレベル上げとストレス発散の為に、今日もダンジョンでモンスターを倒し始める。


 モンスター多数相手にも慣れてきたし、今日は時間もあるので少し奥まで行ってみるつもりだ。


 未来は、モンスターを順調に倒しながらダンジョンを奥へ進んでいく。

 調子がいいのか、今日は久しぶりにホブゴブリンまで出てきている。


 しかし体格が大きくゴブリンより力が強いというだけで、未来意外と戦ったせいて弱った免疫は、成長している未来の敵ではなかった。


 しかし、しばらく進んだ先で、新しいモンスターが現れた。

 見た目はゴブリン。しかし、体の色が今までとは違う。


 黄色い体の色違いゴブリン。


 手に持っているのは、銃。


 未来は、嫌な予感がした。これまで、新しく現れた色違いゴブリンは弱点を克服したタイプであったと思う。


 赤いゴブリンの銃弾は未来に傷をつけることはなかった。

 ならば予想できるのは銃の克服である。


 先手必勝。


 未来は黄色いゴブリンに勢いよく斬りかかった。

 勿論、銃の克服は予想なので青色のモンスターのように攻撃が通らなかった時の為に、一撃与えたらすぐに回避する準備をしている。


 ゴブリンを袈裟斬りに切り裂いたその勢いのまま、未来はでんぐり返りのように前に転がる。


 ゴブリンの数は8。一体倒したからといってその場で止まっていれば蜂の巣の可能性がある。


 ゴブリン達の背後に転がった未来は、黄色のゴブリンに攻撃が通った事を確認できたので、全滅させる為にすぐに行動を起こす。


 視界の端にスキルを取得したであろう画面が映るが、それを無視してゴブリン達を全て斬り伏せて全滅させた。


「ふうー」と蓮撃でゴブリンを倒し切るまで止めていた息を吐いて呼吸を整える。


 その間にステータスウィンドウで手に入れたスキルをチェックする。


《魔力(物飛)》


「ぶつひ? ぶっぴ? んー? ぶつとびかな」


 物は物理で合ってるはずだ。物攻が物理攻撃、物防が物理防御。


 黄色いモンスター全てが銃を持っていた所を考えると飛び道具とかであろうか?


 なんにせよ、黄色いゴブリンの銃には注意した方が良さそうである。


 その後、もう一体新しい色違いのモンスターが現れたのだが、こちらはよく分からなかった。

 スキルも手に入らなかったし、特に手こずる所もなかった。今までと同じの色違いモンスター? いや、普通のモンスターに思えた。


 結局、紫の色違いモンスターの特徴は分からないままである。


 その日はダンジョン内でおにぎりを食べ、未来は時間が許す限りレベル上げに励むのであった。

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