ある日、世界に出現したダンジョンは、開門前にバカスカ敵を倒した僕のせいで難易度が激高したらしい。

第53話 発表

本日は夏休み前の終業式の日であり、未来が登校すると教室の雰囲気はいつもより浮き足立っている。

この日は授業もなく、終業式とロングホームルームだけというのも理由の一つであろう。

みんな口々に夏の予定などを話している。

未来はダンジョンで妃子を助けた後辺りから井尻に絡まれる事はなくなった。

元々友達が少なく、友達が居なくなっても運良くすぐに妃子という話し相手ができた未来とちがって、友達が多かった井尻は孤立してしまってから段々と学校に来なくなってしまったので、会う事が無くなった為である。

何事もなく終業式やロングホームルームも終わり、生徒達は昼前には下校して行く。

その中には未来、妃子、悠里の3人の姿もあった。

虹花は、夏休みに部活に出ないので最後に体を動かしていくと言って部活へ行っている。

いつものように、他愛無い話をしながら下校をしていると、未来、妃子、悠里、3人それぞれの視界の端にポンと画面が現れた。

「ん？」「え？」「あれ？」

3人同時に反応した事に未来達は顔を見合わせてた。

「もしかしてこれは全員が受け取ってるのかな？」

「そうだと思います」

「とりあえず見てみましょうよ」

ステータスウィンドウの操作はスマホと同じような感じなので、3人は自分の視界に出ている画面をタップした。

すると、タップした画面が大きくなり、その画面には『お知らせ』とタイトルがついたメッセージが表示された。

『お知らせ

長らくお待たせしていたランキングの集計が修了致しました。このメッセージ以降ランキング項目でランキングを確認でします。

尚、ランキングの更新時間は現地時間0:00です。

ダンジョンへの参加者が少なかった為、発表が遅れました事をお詫びいたします。

只今ビギナーズカップを開催しております。

参加にはビギナーズカップページでの参加表明が必要です。

ビギナーズカップページで参加の意思を伝えていただく事で参加となりますのでこぞって参加してください。』

というものであった。

「遂に来たわね、夏休みが始まったタイミングで助かったわ。ほら、ランキング見てみなさいよ」

妃子が苦笑しながら未来に視線を送ってくるので未来は空笑いを返した。

今表示されているランキングはこうである。

1位日和未来

2位三住和成

3位マックス

4位チャーリー

5位デイジー

6位ローラ

7位欅神楽妃子

8位カリマー

9位イシス

10位井尻真斗

11位以降は全体を表示ボタンを選ぶと見られるようであった。

「同姓同名もいると仮定しても学校で質問攻めよね。私も未来も珍しい名前だし。夏休みが終わるまでにほとぼりが冷めればいいんだけど」

「それよりも妃子ちゃん、家に人が押しかけてくるかもしれないですよ？　妃子ちゃんの家は対策できてると思うけど未来君の家は大変だと思う。もしかしたらマスコミとかも……」

「え？　そんなにかな？」

「ダンジョンは世界が注目してるしあり得るいや、そうなりそうね。未来、悠里、今日から旅行の日まで家に泊まりなさい！　それに出発を繰り上げるわよ！　虹花にも連絡しておかなくちゃ！　パパにも相談しなきゃいけないし、忙しくなるわよ！」

「ええ？」

「未来の家族も家に匿った方がいいかも！　未来の家は騒がしくなるだろうし家には使用人の寮があるからね！　とりあえず、旅行の準備を取りに未来と、悠里の家に寄って家に向かうわよ！」

妃子の提案に、未来達はこれから起こるであろう騒ぎに向けて動き出すのであった。