2章
第46話 休日の始まり
未来は遂に休みの日に友達と初めて出かけるという一大イベントの日を迎えた。
しかも、男子1女子3。
気さくな巨乳スポーツ少女、真面目でやさしい委員長、学校一のイギリス系ハーフ美少女という誰もが羨むメンバーである。
一緒に登下校したり、お昼にお弁当を食べる関係には慣れてきたものの、未来は昨日は緊張して眠れず、寝不足気味であった。
今日は駅で集合してから電車で買い物に出かける事になっている為、未来は3人を待たせてはいけないと30分前から集合場所へ来て待っている。
早く来てしまった為に手持ち無沙汰になってしまい、寝不足も相待って度々大きなあくびが出てしまった。
「未来、早いじゃない。なんだか未来と待ち合わせなんて新鮮な気分だわ!」
未来の次に待ち合わせ場所にやって来たのは妃子であった。
妃子の様子からあくびをしている所はみられていないようである。
初めは未来がいつものように迎えに行こうかと提案したのだが、せっかくだから待ち合わせをしてみたいという妃子の希望で、ここで待ち合わせをする事になったのであった。
「それでは未来君、後はお嬢の事をお願いしますね」
「は、はい」
「黒田、ありがとね。未来、今日は水着を選ぶ以外には何がしたい?」
未来が迎えに行かなかった代わりに妃子を送ってきた黒田が未来に挨拶をしてから帰っていく。
未来は妃子の私服姿を見ていつも以上に緊張して妃子の言葉が耳に入って来ず、妃子に返事をする事ができなかった。
妃子の私服姿は妃子の細身のスタイルの良さを生かすようなスキニーのパンツにおへそがチラッと見えるアシンメトリーなホルターネックのトップスで、学校とは違うお洒落な雰囲気であるが、妃子のプラチナブランドの髪色が相待ってやはりクールなギャルっぽさを感じてしまう。
「なによ、なんか言いなさいよ?」
未来からの返事がないので、妃子がもう一度未来に話しかけた。
「とても、似合ってます! 凄く、綺麗です」
「……ありがとう。でもなんか、それって私が無理矢理言わせたみたいね」
「そんな事ないです。本当ですよ!」
妃子は別に私服の感想を求めたわけではなく、今日の買い物の話をするつもりだったのだが、不意に褒められた事で顔を赤らめて照れ隠しの言葉を発したのだが、未来は空気が読めずに褒めちぎっている。
「お待たせしましたー! 二人とも早いですね! ほら、悠里早く!」
未来と妃子の間に沈黙が訪れそうになった所で、タイミングよく虹花と悠里がやって来た。
虹花に急かされるように悠里は手を引かれている
虹花の私服はシンプルな白いシャツに胸の下からウエストを締め付けるようなロングのコルセットスカートで虹花の大きな胸が強調されている。
悠里は七分袖のブラウスにプリーツのロングスカートというシンプルな服装であったが、学校とは違ってコテでカールさせた髪をポニーテールに括っていた。
「なんか、みんなすごいお洒落で可愛いですね。なんか、僕の格好が場違いな感じがすごくて……」
未来はまた見惚れそうになったが同じ失敗はしないようにと悠里と虹花の服を褒めながら苦笑いで自分の服を摘んだ。
未来の格好は別におかしくないのだが、普段遊びに行く事がない為、3人と並ぶとどこか垢抜けない服装であった。
それもそのはずで、未来はこれでもましな服を選んできたのだが、中学生の頃に買った服で高校に入ってから服を買った覚えがなかった。
「確かにちょっと組み合わせが良くないのかもね。そうだ! まずは私達で未来のコーディネートをしない? 未来も水着だけじゃなくて旅行に行くための服を買っておきなさいよ」
未来の自信なさげな様子を見て、妃子がそう提案した。
「賛成ー! これからこうやって遊ぶ事が増えるだろうし、その度に服の事気にするくらいなら私達で選んであげる! 悠里も好みのコーディネートを考えてあげてね!」
「え、うん。私好みのコーディネート……」
妃子の提案に虹花や悠里も賛成のようだ。
「そうと決まれば早く電車に乗って行きましょう!」
「え? え?」
3人は意外にも未来コーディネートはノリノリのようで、妃子の号令に合わせて、未来は妃子と悠里に手を引かれ、虹花に背中を押されるようにして電車に乗り込み、買い物へと向かうのであった。
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