第45話 夏休み前の相談

 非公式ダンジョンアタック以降、未来達は平和な日々を過ごしている。


 夏休み前のテストも終えて、後は夏休みを待つばかりである。

 そんな夏休みが待ち遠しい平日の昼休み。

 いつもと同じように未来、妃子、悠里、虹花はいつもの屋上前の踊り場でお弁当を食べていた。


「あ〜、赤点回避! 良いよね。未来んと悠里は赤点の心配もなく今度は隣の席だし!」


 お弁当を食べ始めて直ぐに虹花が疲れたような声を上げた。とはいっても、テストは数日前に終わっており、今日はテストの返却と席替えがあっただけなのだが。


 今回のテスト、未来の席は変わらなかったが悠里は順位を上げて未来の隣の席になった。


 虹花は赤点ギリギリだったようで、補習を回避して夏休みにみんなで出かけられると胸を撫で下ろした後に、成績のいい2人を尊敬の眼差し風な目で見る。

 その後に何かを悠里に耳打ちすると、悠里は顔を真っ赤に染める。


 何を言ったのか未来には聞こえなかったので未来は不思議そうに首を傾げたが、話の内容は「未来んの隣の席になる為にお勉強を頑張ったのかな?」と悠里を揶揄うものであった。


 ちなみに妃子も元から補習とは無縁の成績な上にダンジョンでレベルが上がりステータスも上がっているので学年でトップであった。

 同じ理由で井尻も成績は上がっていたが、虹花と同じ位までやって来ただけでギリギリ赤点回避であったのは余談である。


「それじゃテストも終わったし水着買いに行くわよ!」


 全員が旅行に参加できる事になったのを確認した妃子がそうお弁当を持ったまま立ち上がって宣言した。


「私の部活もテスト明けで休みですから大丈夫ですよ! てか夏休みは自由なんでいつでも大丈夫です!」


 虹花の所属している陸上部はエンジョイ勢が多い部活な為、朝練や長期休みは練習するのも自由なのだそうだ。


「私も頑張ります!」


 悠里は何故か決意を固めたような様子で力の入った返事をした。


 その日のお昼は休みの日に何処のショッピングモールまで買い物に行くのか、集合時間はどうするのかなどを決める時間になるのであった。


 未来は3人に言われるがまま予定を合わせ、覚悟を決めて休みの日へ臨むのであった。



 そして、学校が終わって妃子や悠里を送り届けた後に未来はまたダンジョンへ潜るようになっていた。


 今回はなんとか妃子の救出に間に合う事ができた。


 しかし、道中では銃という新しい武器を持ったモンスターが出たりしてダンジョンが進化しているように感じた。


 これからの事を考えると国の方針によっては一般人もダンジョンへ入るようになるのかもしれない。

 そうでなくともダンジョンからいつまでもモンスターが出てこないという保証は無い。


 そうなった時に、自分の手の届く範囲で大切な人達を守れる力を持っていたい。


 その思いから、未来は少しでも成長しておく為にモンスターを倒してステータスを上げている。


 まだ銃以降、新しい武器や新しい色のモンスターは出て来ていないので順調にモンスターを倒してステータスを上げることができている。


 未来を予防接種としてダンジョンが成長している事に気づいていない未来は、自衛隊や各国の軍のおかげで能力の下がったちょうどいい強さのモンスター相手にどんどん成長している。

 そうして意図せず未来はどこまでダンジョンの難易度を上げてしまうのだろうか?


 とりあえず、夏休みの旅行で、変に絡まれたとしても一緒に行く3人を守るには十分なステータスはあるだろう。


 いや、オーバーキルか。


 緊張はするが、友人達と過ごす初めての夏休みを、未来は楽しみにしているのであった。




               一章おわり


 


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あとがき


一章を読んで頂きましてありがとうございました。

区切りのいい所でお星様で評価していただけると嬉しいです


カクヨムコン10参加作品


綿転生

https://kakuyomu.jp/works/16818093090518158236


誤爆の大魔法使い

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ある日、世界に出現したダンジョンは、開門前にバカスカ敵を倒した僕のせいで難易度が激高したらしい。

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短編

〜prologue 〜神のミスにより死ぬはずのない人を轢いた人間の話

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よろしくお願いします!

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