第10話
「桜野選手ー?桜野選手ー?」
「はぁい。ここにいまぁす」
ゆっくり小さな声で答えたのは、
弱気な性格で、一度いじめにもあっているが、中村に助けられ、中村に恋をしている。彼女のスキル、【桜舞】は、剣から桜が出てきて、相手の視界を遮るというものだった。中村はこの桜舞に弱く、毎日訓練をしていた。
その時はまだ中村は桜野の存在に気付いていなかった。
毎日後をつけられているという事も…
「では第二戦目、開始!」
「『スキル』【剣魂】」
またもや剣に魂が宿る。
「剣を切られるとやっかいですね…じゃあこちらも!『スキル』【桜舞】!」
「俺がそのスキルに勝つためにどれだけ練習してきたと思ってるんだ?」
「いえ、こちらもこれだけで終わらせるわけにもいきません!上級魔法、【吹雪】!」
雪と一緒に桜が中村に向かってくる。
吹雪の雪は、猛毒を持つ。体に触れただけで真っ赤に腫れ、痛みが出てくる。
「中級魔法、【結界】」
「結界で防げるとでも?この桜舞は桜がカッターのように固くなるのですよ?」
パリィィン!
結界が割れる。
「こっちもそれを見越してだぜ。【ファイアーソウル】!」
剣に宿っていた魂が大きくなり、炎となる。
そして雪と桜を全て焼いてしまった。
「なっ…なんだその技は!ファイアーソウルなど存在しない魔法だぞ!」
「ああ。でも俺が魔法を生み出した。それ以外に何かあるか?」
会場全体がざわざわとしゃべりだす。
魔法を作ると、魔法全集という本に乗り、皆が魔法を使えるようになる。
だが、魔法全集にのせず、自分だけで魔法を使う事も許可されている。
「くっ…そう来ましたか…ではこちらも!【春夏秋冬】!」
桜、光、枯れ葉、雪。
この四つが混じりあい、ひとつのかたまりになり、中村へと飛んでいく。
「【ファイアーソウル】!これですべてを焼き尽くす!」
ファイアーソウルの炎が先ほどの数倍ほど大きくなった。
そして…
桜野の魔法を飲み込んだ。
「【仕返し】」
ファイアーソウルが飲み込んだはずの桜野の魔法が、
ファイアーソウルの中から出てくる。
そして、桜野の方へとすごいスピードで進んでいく。
この仕返しも中村の作った魔法。
知っているのは中村ともう一人。
碧のみであった。
碧は、魔法が得意だったので、【仕返し】も、【ファイアーソウル】もすぐの習得した。中村のスキルの【剣魂】の魔法バージョンも生み出した。
本当の剣魂と比べると威力は半分以下だ。
桜野に火のついた桜、光、枯れ葉、雪が直撃する。
「う、うぅ…強いわね…私の負けよ」
「ピー!中村選手の勝利!」
ワー!ワー!
パチパチパチパチ!
観客席は大盛り上がりだ。
あれほど迫力のあるものを見せられて黙っていられるか。
そんな勢いで拍手が聞こえる。
「ふー。勝った勝った。新しい魔法も使えて良かった」
「中村先輩、私…このあとちょっとだけ話があるんですけどいいですか?」
「え?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます