異世界での小さな青春と友情の物語

第7話

2人の状態は…

「ピー！成選手と夏美選手、敗北！」

ワー！と歓声が起こった。

「負けたな」

「私達では手の届かない場所にいるわ…2人はきっと王者になる…」

「でも王者になるのは一人だ。どっちがなるかな」

「私にはわからないわ。でも、私たちはもう棄権しましょう。この疲れた体じゃもう戦えない」

「そうだな」

これで2人は棄権となった。

「またもや雷選手と俊選手の勝利です！」

続いてはトーナメント最終戦、

雷と俊のチーム対、伊藤（いとう）幹野（みきの）と細川（ほそかわ）奈美（なみ）

のチームだ。

伊藤幹野は世界で一番というほど治癒魔法の能力が強い。

彼はどちらかというと自慢ばかりしてくる面倒な奴だ。

細川奈美はどこにでもいる普通の人。

勇気がなく、幹野の言うとおりにしてしまう。

奈美のスキルと幹野のスキルを合わせれば最強だ。

最強というよりかは最恐かもしれない。

「では、最終戦を始める！」

先ほどの対戦のように楽々とこなしていく雷と俊のチームに対し、

奈美は全く攻撃してこないし幹野の術は荒い。

どうやってここまで登ってきたのかと不思議なほどだ。

「奈美！何してんだ！お前のスキルを早く使え！」

「は、はいぃぃぃ！」

奈美が『スキル』【波乗り】を使った。

そこに幹野の『スキル』【闇】の塊を波に乗らせる。

そして二人に…

ドカァァァァァン！

2人に闇が直撃する。

そして二人は闇に飲み込まれていく。

これにて試合終了。

そう思われたとき…

「雷、成功したな」

「なっ！なぜココにお前らがいる！さっき闇に飲み込まれたじゃないか！」

「甘いぜ幹野。俺は元情報科を目指してたんだ。お前のスキルを知っていて当然だ」

「なっ！」

「しかし、奈美のスキルとの組み合わせはびっくりしたな」

「ああ。だがこれでお前らも終わりだ」

「キャァ！助けて！助けてくれるって言ったじゃないですか！この嘘つき！」

「奈美！お前は黙ってろ！大体お前のスキルが！」

「言い合いは良いから。これで降参か？」

「うう…仕方がない。降参だ」

「ピー！雷選手と俊選手の勝利！」

「最終戦です。雷選手対、俊選手の戦いです」

「「はぁ？！」」

「王者は一人しかなれないので二人で戦ってもらいます」

そう。チームとして頑張ってきたが、最終的に王者は一人。

ちなみに、雷と俊は、審査員的にもトーナメント的にも評価は1位だったのでどちらかが王者になることは決定している。

「仕方がない。王者になるためにはこのようなことも必要という事か…！」

「ああ。俊。最後の対戦だ。お互い正々堂々と戦おうじゃないか」

2人の対戦が始まる！