「イイネ!」に変わる新提案
2010年8月、mixiに「イイネ!」が実装されてから、早2年半。
活用されている方も多いだろう。
というより、使ったことがない人の方が少ないのではないだろうか。
「イイネ!」機能はとても便利だ。
まず、ワンクリックで「読んだよ」ということを伝えられる。
円滑な人間関係のためにはまず「あなたに興味があります」ということを伝えるのが一番。
日記やつぶやきにリアクションすることで、「あなたの更新を私は読んでいます」ということを伝えられる。
さらに「イイネ!」を押すだけで、その内容に肯定的な印象を持っていることも伝えられる。
相手から好感をもたれるには、相手を肯定するのが手っ取り早い。
たったワンクリックで
「私はあなたに興味があります。あなたのことを肯定的にとらえています」
という円滑な人間関係の構築に必須の要素を二つも実行することが出来るのだから、活用しない手はない。
ところが、である。
100%いいものなんて世の中には存在しない。
メリットばかりに見える「イイネ!」にも、問題はある。
ある人は言う。
「『イイネ!』が実装されてから、コメントが減った」と。
またある人は言う。
「ネガティブな内容なのに、何が『イイネ!』だ!」と。
こういう人もいる。
「なんだか『イイネ!』の『!』がムカつく」と。
これらの問題点は「イイネ!」を付けられたことのある人なら一度は感じたことがあるだろう。
私などは「イイネ!」ボタンのリアクションであっても、ノーリアクションよりは遥かに嬉しいと思うタイプなのでさほど気にならないが、マイミクの中には「『イイネ!』を付けたらマイミク切ります」と公言しているくらい「イイネ!」ボタンを嫌っている人もいる。
そこで今日は「イイネ!」の問題点を分析し、「イイネ!」に変わる新提案をさせていただきたい。
先ほど例に挙げたコメントは、そのまま「イイネ!」の問題である。
問題点1.「イイネ!」を押されると、コメントが減って不快
問題点2.否定的な投稿(日記・つぶやきなど)に「イイネ!」がつくと不快
問題点3.「イイネ!」の「!」が不快
順番に見ていこう。
<問題点1.「イイネ!」を押されると、コメントが減って不快>
・分析
「イイネ!」を押されると、コメントが減る。
「イイネ!」以前はニュース記事などから日記を書くと、見知らぬ人からの足跡が増え、肯定的なコメントであふれかえったものだ。
それらのコメントの中には、こんな簡単なものもある。
「同感です! ニュースから」
「まったく同じこと考えてました!」
「その通りだと思います!」
「共感しました!!」
この人たちは、特に自分の意見や体験を書きこみたいとは思っておらず、ただ「共感した」「同意だ」ということだけ伝われば十分なのである。
そうすると、「イイネ!」を押しただけで「共感した」「同意だ」という意図は伝わるので、コメントを残すまでに至らない。
実際「歩き煙草を防止するにはモラルの向上が必要」みたいな、内容は正しいけれど目新しいことは何一つないような日記を書いた時、「イイネ!」は20個ほどいただいたものの、コメントは一つもつかなかった。
内容の正しさには共感するものの、取り立ててコメントするほどの何かはない、という判断をされてしまった例である。
また「物を書く」というのは、面倒くさい作業である。
特に他人にコメントを付ける場合は、コメントを付けられた人がどう思うか、コメントを読んだ第三者がどう感じるか、といったところまで無意識のうちに考えてしまう。
たった一言を書くだけでも、そのコメントを読む人のことを考えたら、それなりの労力が発生する。
「イイネ!」を押すことに慣れてしまうと、言葉を選び文章を打ってコメントすることが、億劫に感じてしまうのだ。
・対処案
「イイネ!」には、良くも悪くも「いいね」という明確なメッセージがある。
だから、人によっては「イイネ!」=「いいね」に、伝えたいメッセージが全て含まれてしまうケースがある。
これを解決するには、なにか内容をぼやかした言葉に変えることだ。
明確なメッセージがない言葉にすれば、それを押した上で、コメントに補足的な文章を書き添えたくなるだろう。
<問題点2.否定的な投稿(日記・つぶやきなど)に「イイネ!」がつくと不快>
・分析
これは私の周りに関する限り、「イイネ!」にまつわるトラブルの中で最も多いものである。
例えば
「今日彼氏に振られた。このところずっと喧嘩ばっかりだったから予感はしてたけど……こんなに好きなのに、どうしてこうなっちゃったのかな……↓↓」
のようなつぶやきに「イイネ!」がつくと、この問題点が顔を出す。
「イイネ!」をつけた人としてはおそらく「そういう時もあるよね」とか「つらいよね、わかるわかる」という共感の気持ちの表れなのだろう。
だがつけられた人は「え、私が振られたのがいいってことなの?」と思ってしまう。
落ち込んでいる時や辛い時には物事をネガティブに取りがちだ。
冷静になれば、悪意からつけられた「イイネ!」でないことは分かるのだが、気持ちの上ではどうしてもしこりが残る。
・対処案
ネガティブな投稿に対してポジティブな「イイネ!」という反応が返ってくるという不整合が、この不快感を生んでしまう。
これを解決する一つの案としてはポジティブな共感を示す「イイネ!」に対して、ネガティブな共感を示す「ヨクナイネ!」ボタンを設ける、というものがある。
実際にレンタルブログのコメント欄では「イイ(・∀・)!」「イクナイ(・д・)!」のように、肯定評価と否定評価を使い分けられるような設定があるものも多い。
だが「ヨクナイネ!」を実装した場合、今度は押し間違いなどにより「『ヨクナイネ!』があるのに『イイネ!』をつけられた……」のような別のトラブルが発生する可能性も高い。
だから「イイネ!」と「ヨクナイネ!」の二つを用意するより、ポジティブ/ネガティブの区別が明確ではないボタンを一つ用意して、投稿の内容によってどちらにも取れるようにするのが良いのではないか。
<問題点3.「イイネ!」の「!」が不快>
・分析
これは問題点2とは異なり、ポジティブな内容に対しポジティブな反応をしているのになんとなく違和感がある、というケースである。
「イイネ!」という表記は、カタカナに感嘆符がつくという単純かつ勢いを感じさせる。
マッチョでアパガードな兄ちゃんが親指をグッと立てながら「HAHAHA! イイネ!」と言っているようなイメージなのだ。
mixiの投稿ではなくリアルな会話として想像してほしい。
「ヤッター! 試験に合格した!!!」と言っている人に「HAHAHA! イイネ!」と返すのは別にいいが、
「明日手術なんだ。不安もあるけど、成功率は高いらしいから頑張るよ」と言っている人に「HAHAHA! イイネ!」と言っている人がいたら「お前ちょっと空気読め」と突っ込みたくなるだろう。
問題点3で発生している不快感は、それの文字バージョンだと考えてほしい。
問題点2がポジティブ/ネガティブというベクトル(向き)の不整合による不快感だとしたら、問題点3は向きは同じでもスカラー(量。この場合はテンションと言い換えてもいい)が違いすぎるために不快感を与えてしまうのだ。
・対処案
この問題に対してはやはり最後の「!」が問題であろう。
「!」は勢い、テンションの高さを表す記号であるため、感嘆符がついていることでどうしてもアメリカンな印象がぬぐえない。
答えは明白、「!」をとればいい。
これら3つの問題点の分析を通じて、私が提案する「イイネ!」に変わる新ボタン。
それは……
「ソウダネ」
これは最初に書いた「イイネ!」がもつ良い点
・読んでいる(あなたに興味がある)ということが分かる
・投稿に対し同意していることも伝わる
を生かしながら、「イイネ!」が持つさまざまな問題点をクリアした画期的表現である。
問題点1.「イイネ!」を押されると、コメントが減って不快
→「ソウダネ」という言葉には、明確なメッセージは含まれていない。「なにが『ソウダネ』なのか」を説明したいという要求を生み出し、コメントの書き込みを促す。
問題点2.否定的な投稿(日記・つぶやきなど)に「イイネ!」がつくと不快
→「ソウダネ」という言葉には、ポジティブもネガティブもない。ただ同調の意図があるだけであり、否定的な投稿にも対応できる。
問題点3.「イイネ!」の「!」が不快
→「ソウダネ」という言葉からは、テンションの高さは感じられない。投稿がどのようなテンションであろうと受け止めることができる。
実際どのような使い勝手になるのか?
問題点の分析に用いた例に再び登場してもらおう。
「歩き煙草を防止するにはモラルの向上が必要」「ソウダネ」
「今日彼氏に振られた。このところずっと喧嘩ばっかりだったから予感はしてたけど……こんなに好きなのに、どうしてこうなっちゃったのかな……↓↓」「ソウダネ」
「ヤッター! 試験に合格した!!!」「ソウダネ」
「明日手術なんだ。不安もあるけど、成功率は高いらしいから頑張るよ」「ソウダネ」
どうだろうか。一切の違和感がないことがご確認頂けるであろう。
「イイネ!」は素晴らしい機能である。
だが、単純な故に、簡単に使われすぎ、気付かないうちに相手に不快な思いをさせてしまうこともある。
大勢の人と簡単に、かつ円滑に人間関係を構築していくために、誤解を生まない「ソウダネ」ボタン、実装されればより友達との心の絆が強まるのではないか。
友「ソウダネ」
……うん、なんか、突き放された感じがするよ?
投稿日時:2013年03月02日 14:40
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