女子高生よ、足を出せ!


本日は私の講演に足をお運びいただき誠にありがとうございます。

限られた時間ではございますが、よろしくお願い申し上げます。


では、さっそく本題に参りましょう。


女子高生の皆さん、足出してますか?

いや、セクハラとかじゃないです。マジメに聞いてます。


右側の座席の皆さん、どうですか?

おぉ、出してますね、素晴らしい!

やっぱりJKのナマ足とか最高ですよね、フヒッ!


あ、最前列にお座りの、20年ほど前に女子高生だったご婦人方。

どうぞご着席ください。ひざ掛けお持ちしましょうか?


そちら、左奥の皆さんは?

……え、出してない? はぁ~、そうですか……。

残念、実に残念です。


女子高生は足を出すべきです。

別に私がぴちぴちのナマ足を堪能したいからとか、そんな理由じゃありません。

結論から申し上げますと、女子高生のナマ足は、日本を元気にするのです!


あぁっ、席立たないで!!!

ちゃんとした理由があるんですから!!!

それも3つも!!!


ご着席ありがとうございます。ちょっと視線が怖いですけど。



……コホン。では、一つ目の理由からご説明いたします。


その前に、突然ですが、質問です。

皆さんは悲しい時、どうしますか?


『ひきこもる』『やけ食いする』『物にあたる』『泣く』

はいそう! 今出ました。泣きますね。

悲しいことがあると、涙が出てしまう人は多いと思います。


ではもう一つ質問です。

皆さんは、泣きまねをしているうちに、本当に悲しくなってしまったことはありませんか?

あぁ、何人かの方が頷いてくれていますね、ありがとうございます。


「悲しいから泣く」のと「泣くから悲しい」。

これは、原因と結果が逆転していますが、心と体が密接にかかわっていて、表裏一体であることを示しています。

ちょっと難しい専門用語でいうと、「ジェームズ=ランゲ説」と呼ばれるもので、体の動きが心の動きを生み出すというものです。


この「ジェームズ=ランゲ説」が一つ目の理由の第一のキーワードです。


キーワードはもう一つあります。

「ミニスカがブームの時は好景気」です。

これはかつて高度経済成長期やバブルの時期にミニスカートが流行したことから生まれた俗説です。


この説そのものに根拠はありません。

とはいえ、この説を裏返しにした「不景気の時は丈の長い服が流行する」には、実は根拠があります。


これは知り合いのデザイナーから聞いたことなのですが、景気が悪い時はお客さんが消費を控えるため、服を買う枚数も減る。

そうなると採算が取れませんから、布を多く使い、商品単価を上げて、なんとか利益を出すように調整する、というのですね。


結果、不景気な時は露出度の低い服装、そうでない時は露出度の高い服装が多くなるのだそうです。


はい、ここで、女子高生が足を出すべき理由その1です。

「ジェームズ=ランゲ説」そして「ミニスカがブームの時は好景気」……この2つのキーワードを組み合わせると!


「ミニスカを ブームにすれば 好景気」


好景気だからミニスカ、を逆に考えれば、ミニスカだから好景気といえます。

女子高生の皆さんには、ぜひともミニスカをはいて、この低迷する日本経済を、世界経済を救っていただきたいのです!



ん、最前列のご婦人、いかがなさいましたか。

「それなら私たちがミニスカをはいてもいいじゃない」?

「女子高生に限定する理由がわからない」?


ありがとうございます。貴重なご質問をいただきました。

そちらにつきましては、今からお話しいたします2つ目の理由の中でご説明いたします。


……その前に、今から述べることは一般論であり、決して差別などではないことをご理解ください。


今一番人気のあるアイドルグループといえば、おそらくAKB48だと思います。

個人的な好みは皆さんそれぞれあるでしょうけれど、テレビをつけてAKBのメンバーの子を見ない日はまずありませんし、CMやポスターなど、いたるところで起用されています。


他にはどんな子がいるかといえば、桃色クローバーZやBerrys工房など、こちらも女性グループです。

もう少しさかのぼってみれば、モーニング娘。やSPEED、MAXなど、さらにさかのぼればおニャン子クラブなど……いつの時代でも、女性アイドルグループは強い、と言われます。


アイドルに限らなくても、バラエティ番組ではグラビアアイドルや女子アナを何人も集めて行う企画がとても多いですね。


これはなぜかと言いますと、やはり「華がある」からなのです。


一般的に男性よりも女性のほうが、そして年配の方よりは若い方のほうが華やかです。

若い女の子が何人も集まってきゃーきゃー言っているだけで、とても華やかで明るく、そこからはプラスのパワーが溢れだすのです。


サラリーマンのお父さんたちは、時に自分の青春時代を、時に口をきいてくれなくなった娘の笑顔を彼女たちに重ねながら、よし、明日も頑張ろう、という気分になるのです。


同年代のご婦人ではダメです。

彼女たちを軽視してはいませんが、常に小言を言い、自分を邪険に扱う妻の姿を重ねてしまいます。


日本の経済を支えるサラリーマン、そのサラリーマンを支えているのは女子高生の笑顔なのです!


そして、女子高生の持つ明るさ・華やかさといった魅力をさらに何倍にも高めてくれるアイテム、それがナマ足とミニスカートなのです!!!



……ハァ……ハァ……

すみません、ちょっと熱を帯びてしまいました。


3つ目の理由に行く前に水を……失礼。


では、最後の理由についてお話ししましょう。

ここまでご説明した2つの理由は、女子高生が足を出すことで社会にどんな影響があるかという観点でお話ししてまいりました。

しかし最後の理由は、女子高生自身のためです。

特に、今スカートを短くしていない、そちらの女子高生の皆さんによく聞いていただきたい。


あなた方は、なぜスカートを短くしないのですか?

「校則だから」「親御さんがダメと言ったから」「自分のような子には似合わないと思うから」……こんな理由ではないですか?


校則だから、ダメと言われたから、ミニスカートをはかない。

そう考えている皆さん、とても立派です。

社会のルールを守り、親の気持ちを考えられる、いい子だと思います。


しかし、私はあえて言いたい。

ルールを破って叱られるのは、子供の特権です。


大人になってからルールを破っても、誰も叱ってくれません。

叱ってくれない代わりに、周りの大人たちは黙って去っていきます。


子供の時にルールを破り、叱られたことのない人は、それを自由と勘違いします。

大人になって自由になったから叱られないのだと勘違いします。

そうではないんです。 目に見えないところで、切り捨てられているだけなんです。


だから、ちょっとくらいはルールを破りましょう。

意外に大目に見てもらえることもあります。

ダメでも叱られるだけで済みます。

叱られましょう。そして、ルールを破ることはいけないことだと、経験を通じて覚えましょう。


それから、似合わないからと思っている方。

確かに、もしかしたら、友達ほどにはミニスカートは似合わないかもしれません。

けれど、今、あなたの体は一番いい時期なんです。

成長して、若く、エネルギーにあふれ、筋肉も引き締まり、肌も張り、生物として最高の状態です。


断言します。

もっと年を重ねて、20代、30代となるにつれて、体はどんどん衰えていきます。

そうなってからミニスカートをはいても、似合うはずがありません。みっともないだけです。

もし、本当ははいてみたいのに、似合わないからという理由だけではかないでいるのなら、きっとあなたは10年後、20年後に「あの時はいていれば」と後悔します。



世間は子供には甘いものです。

成人した女性が短すぎるスカートをはいていれば、非常識だと後ろ指を指されます。

しかし女子高生が短すぎるスカートをはいていても、「若いからね、そういうときもあるよね」と見守られておしまいです。


犯罪を犯してさえ、少年法で守られている皆さんなのです。

校則を破るくらいなんですか。親に逆らうくらいなんですか。似合わないのがどうしました。

やってみたいなら、やればいいのです。


あ、もちろん犯罪をやってみればいい、と言っているのではありませんよ。

犯罪はもちろんダメです。犯罪にならない行為でも、いじめとか人を傷つけるような行為はダメです。

でも、ロングスカートからミニスカートにはき替えたところで、誰も傷つきません。


もちろん、ただミニスカートをはけばいいというものではありません。

その時には、ちゃんと考えてください。

本当にミニスカートをはきたいのか、ミニスカートをはいてもいい状況なのかを。


これが、私が女子中学生や女子小学生ではなく、女子高生に対してのみ足を出せと言っている理由です。


皆さんはまだ法律上は未成年ですが、義務教育も終了していますし、一人の人間としては十分に分別があると考えています。

ミニスカートをはきたいという自分の欲求と、はくべきではないという周りの状況、それらを総合的に考えて、今ミニスカートをはくべきかはかないべきか、きちんと判断できると考えています。


もっと言えば、判断してほしいのです。

単に、親に言われたから、などの理由で、深く考えもせずに自分の望みを封じ込めてしまうような、消極的な人になってほしくないのです。


皆さんはこれからもっと成長して、世界を動かしていく立場になる人です。

自分の頭で考える癖をつけてもらいたいのです。

もし、「ミニスカ禁止」という校則のほうがおかしいと考えるなら、その校則を変えるように論理的に動いていける人になってほしい。

両親を説得できるようになってほしい。

自分に似合うミニスカの着こなし方を工夫するようになってほしい。


このことは、今ミニスカをはいている方にもお願いです。

そのミニスカは、本当にはきたくてはいているのですか?

周りの子が皆ミニだから、はきたくないのに合わせているということはありませんか?

最近干渉がうるさい親への反抗のためだけに、わざと短くしているということはありませんか?

自分のルックスを引き立てるためだけに、わざときわどい恰好をしていませんか?


ご婦人方もです。

あなた方の年齢で、このような講演会に来る場合、ミニスカートはふさわしい格好だと言えますか?

勿論最近のご婦人は、いつまでも努力され、素晴らしいプロポーションの方が多いです、今日会場にいらっしゃる方々のように。

しかし、そろそろTPOというものを、ご自分の欲求よりも優先させるべき時があることをお気づきになりませんか?


いちいち細かく申し上げませんが、男性の方も、ご年配の方もです。




……さて、最後、少々堅苦しくなってしまいましたが、最後に3つのポイントをおさらいしたいと思います。



ひとつ、「ミニスカを ブームにすれば 好景気」

ふたつ、「女子高生 サラリーマンを 元気にし」

みっつ、「考えて それから出そう ナマ足を」



以上をもちまして、講演『女子高生よ、足を出せ!』を終了とさせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。






投稿日時:2012年10月14日 07:07

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