『鋼の守護聖』※アンジェリークギャグ二次



マルセル(以下マ)「僕、前からゼフェルに聞きたいことがあったんだけど」

ゼフェル(以下ゼ)「……あー?」

マ「ゼフェルってどうして『鋼の守護聖』なの?」

ゼ「はぁ? おめー、そんなのオレが分かるわけないだろ!」

マ「えっ」

ゼ「サクリアがどうとかで女王が勝手に選んだだけで」

マ「待って待って待って、そういう意味じゃなくて」

ゼ「そーゆー意味じゃなきゃどーゆー意味なんだよ、あ?」

マ「そんなに睨まないでよ……」

ゼ「早く言えよ」

マ「だから、例えばジュリアス様なら『光の守護聖』だし、クラヴィス様なら『闇の守護聖』でしょ?」

ゼ「だからどーした」

マ「ゼフェルの『鋼』だけ、なんか変じゃない?」

ゼ「変って……どういう意味だ」

マ「だからー、ゼフェルの力は文明、技術の発達のための力でしょ?」

ゼ「おう」

マ「だったら、別に『鋼』に限定しなくてもいいんじゃないかって」

ゼ「『鋼』じゃなかったら何なんだよ」

マ「えーと……あっ、鋼は合金の一種だから、『合金の守護聖』とか(笑)」

ゼ「(笑)じゃねーよ。なんだそれ、ダッセェ」

マ「あーっ、合金ってすごい技術なんだよ!? それを鋼の守護聖が否定しちゃだめだよ!」

ゼ「だからって『合金の守護聖』はねーよ」

マ「『ジュラルミンの守護聖』」

ゼ「旅行鞄か!」

マ「『ステンレスの守護聖』」

ゼ「台所か!」

マ「そういえばエンジュのタンタンって、正式名はコンスタンタンだったよね」

ゼ「?」

マ「『コンスタンタンの守護聖』」

ゼ「あいつを守ってるわけじゃねー!」

マ「コンスタンタンも合金名だし……55Cu-45Ni」

ゼ「っつーかマニアックすぎるだろ! もっと一般的なの出せよ」

マ「『メッキの守護聖』」

ゼ「……お前今馬鹿にしたな?」

マ「してないよ、してない」

ゼ「いーや、絶対にした」

マ「メッキがはがれるとか思ってないから」

ゼ「思ってんじゃねーか。つーか、合金から離れろよ」

マ「合金じゃなかったら何がいいと思うの?」

ゼ「そうだなー、やっぱり金属とかじゃねーの」

マ「それはだめだよ」

ゼ「なんでだよ」

マ「だってもし『金の守護聖』だったらジュリアス様とかぶっちゃうし」

ゼ「いや、あいつ『光』だろ」

マ「でも『金』といったらジュリアス様でしょ?」

ゼ「それは……否定できねー」

マ「『銀の守護聖』はクラヴィス様、『銅の守護聖』ならランディ」

ゼ「たしかに、そう言われればそういうイメージあるな……」

マ「『鉄』ならオスカー様、『水銀』ならリュミエール様……」

ゼ「うぅん……」

マ「ねっ? 金属にはもうゼフェルが立ち入る隙はないよ?」

ゼ「今日のおめー、毒舌だな」

マ「あと、言いにくいけど、金属とか鉱物って、どちらかと言えば『地の守護聖』ルヴァ様の守備範囲だと思う」

ゼ「そーだな……あっ、ルヴァがいんじゃん!」

マ「?」

ゼ「オレだけじゃねーだろ、あいまいな守護聖!」

マ「そうかな?」

ゼ「そうだよ! 俺の『鋼』が変ならあいつも『土の守護聖』とかでいーだろ!」

マ「え、ゼフェル、何を言ってるの」

ゼ「え」

マ「地は大地のこと、土だけじゃなくて、砂とか石とか、鉱物とか雨水とか、ありとあらゆるものを含んでの『地の守護聖』なんだよ?」

ゼ「そ、そうかよ」

マ「地には、命あるものが生きていくための様々なものが含まれていて、人は知恵をつかって地の上で生きる……だから『地の守護聖ルヴァ様は知恵を司るんじゃない」

ゼ「し、知るかよ」

マ「だいたいゼフェルの『鋼』は、そこから考えても変だよ」

ゼ「……まだ続くのかよ」

マ「地と知恵、光と希望、緑と豊かさ……守護聖がつかさどる力の関係は普通とてもわかりやすいのに、ゼフェルのは鋼と器用さ……いくら器用でも、普通の人は鋼をどうにかすることなんて出来ないよ」

ゼ「ヴィクトールかリュミエールくらいの怪力なら出来んだろ」

マ「サクリアは万人の上に平等に降り注ぐべきものだよ?」

ゼ「はいはい」

マ「あっ、僕やっと思いついた! 誰でも扱える、器用さの象徴! しかも、今の『鋼』とあまり違わない!!! これならゼフェルも気に入ってくれると思うよ」

ゼ「……なんだよ?」

マ「『はりがねの守護聖』!!」

ゼ「帰れ。」




投稿日時: 2013年03月05日15:58

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