第8話 電車にて
改札を走り抜け、階段を駆け下りてドアが閉まる寸前、辛うじて電車に飛び乗った。
『ヤバかった、乗り遅れたら昨日に続いて今日も遅刻じゃ、いくら何でもまずいからな』
走りっぱなしで飛び乗ったから、まだ息が荒い。この電車なら確実に始業時間に間に合うので、やっとひと息ついた。
慌てていたから飛び乗った時には気が付かなかったが、朝のラッシュ時なのに、今日はなぜか乗客が少ない。いつもはすし詰めの満員なのに、
立ち客がいないガラーンとした車内、ほとんどの乗客はシートに腰を下ろしている。
やたら静かな車内。いや物音ひとつしない。お年寄り、会社員風、学生など乗客は全て下を向いている。
何かヤバい、おかしな電車に乗ってしまったみたいだ。次の駅で降りなくちゃ。早く次の駅に着いてくれよ。
10分ほど走って、電車の速度が落ち始めた。どうやら次の駅に到着するようだ。助かった。ドアにへばり付いて停車を待つ。
音もなく、気配もなく、乗客の全てが、シートから立ち上がった·······
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます