ある転生者は人助けの準備をする

 よーし、ようやく王都だー!

 ここに来るまでは色々とありました。というかタガの外れた二人の性欲を舐めてました。

 毎回宿屋ではちょっとお高い部屋で大きなベッドで3人でが定番で、なんていうの? オブラートに包んで言うけどいじりあいっこがしつこいのよ。何度ダウンさせてももう片方相手してる間に回復してくるし……で、ね気づいちゃったのよ。俺、ハーレム30人ほどいるけど俺の体持つのか? ってね。添い寝当番が4人組だったから少なく見積もってもこの2倍の欲望を相手にしないといけないとは……そういえば男子減少世界では女性の性欲がデカくなるってのは定番だったわー

 これはユグドラシルダンジョンで何らかのスキルを身に着けなければ干からびる未来しか見えねぇ……ゲームでクリア時に手に入れた無限射精みたいなスキルを手に入れられればいいんだが……

 寝取られに警戒しなくちゃいけない、ハーレムを満足させなきゃいけない。両方実行しなきゃいけないのが男としてつらいところだな。

 まぁ、せっかく王都、一番文明が発展しているであろう場所に来たんだ。楽しまなきゃ損でしょ。





「リオー、あっちになんか面白そうなものがあるよ! 早く早く!」

「ちょっとお姉ちゃん! 立て前たてまえー!」

「まぁいいじゃないか。こほん、トトリ。今日の私達はお忍びです。だからほら!」


 そう言って俺は片腕を差し出す。


「せっかくだから楽しまなくちゃ損でしょ!」


 そういう立て前で俺はトトリの腕を掴み引き寄せてエリーの後を追いかける。


「チョッちょっとリオ、そんないきなり……はずかしい」

「うーん? 夜はもっと恥ずかしいことをしてるんだがなぁ、ハッハッハ」

「うーん、もう! 知らない!」


 なーんて言いつつしっかり腕にからみついてくるトトリ。ういやつよのう。


「あーふたりともずるい!」


 おやどうやらエリーがこっちに気づいたようだ。ぷりぷりしながらこちらにかけてくる。


 さーて、今日は3人で遊ぶぞー!






 とかイチャイチャやって楽しんでたんだけどお昼ごはん食べてしばらくしてってころかな、なんか男の怒鳴り声が聞こえてきて人が群がってるのが見えた。


「エリー、ちょっと肩車してー」


 この体、ショタの記号を持たされているせいか全然身長伸びないのよね。んでエリーに肩車してもらって騒動の中心を見ると男の服を着た男っぽいやつが地面に倒れている少女をステッキで打ち据えているところだった。ふーん、俺の前でそんなことしちゃうんだ。と、ちょっとピキピキしていると、男はその頭上に火の玉を作り出した!


「エリー! やばい! 女の子が火魔法で焼かれそうだ。R・Sリオ・ストライク を頼む!」


 リオ・ストライク。まぁ俺とエリーの合体技なんだがなんでこの技ができたのか俺の戦闘特性を話さなければなるまい。


 あれは森のダンジョンでのことだったかな。果物とか、森の動物の肉とかが出るとこ。そこで、まぁきれいな水が湧き出す泉を見つけたんだよね。で、色々と揉めた結果休憩がてら一人づつ水浴びをすることになったんだよねー。で、俺の番になって全裸水浴びしてるとなんかどこからか知らないが妖精が現れたんだよ。この世界にはゲームには出てこなかったがバルキリー・フェアリーなる魔物がいて某固くて早いやつみたいな扱いなんだ。まぁこいつは倒すと経験値じゃなくてスキルをランダムで授けてくれるらしいんだけどね。でも俺が見つけた妖精は武器を持ってなくてどう見てもヴァルキリー・フェアリーには見えなかったんだ。

 んで、俺の周りをふよふよと飛ぶから俺も指を出してかまってやったらなんか嬉しそうにくるくると俺の周りを回るのね。で、こっそり俺を覗こうとしていた二人に見つかるわけだ。俺はこいつがそんなにも危険なやつに思えなかったからかばう、見逃すという風に持っていきたかったんだけど二人の危険だというのも無視できなくてね。ごめんねって言ってバイバイってその場を離れようとしたんだ。そしたらその妖精が額にキスしてくれてなんか祝福っぽいスキル? 加護? を授かったってわけ。

 この加護を受けてから幸運値が上がったのかクリティカルの確率がグーンと上がって、あとメイスの技は高威力の割に命中率が落ちるというジレンマがあったんだけど、その弱点が解消されててその上メイスを装備してないと使えないはずの専用技が他の武器でも使えるようになっていたんだ。で、メイスの技の中にはクリティカル率を上げて攻撃する技というものがありまして、今使ってる魔力を消費してクリティカル率を上げるクリティカルロッドという武器を装備して殴ればほぼ100%クリティカルになるというクリティカル製造マシーンと化したわけだ。ゲーム仕様のクリティカルを当てると敵は一定時間行動不能になるっていうのも反映されてたみたいでかなり使い勝手がいい。ゲームじゃクリティカルなんてめったに出なかったからなぁ……

 で、最初に戻るがリオ・ストライクというのはそんな俺のクリティカル率をエリーのパワーで発生させるという俺を敵に向かってぶん投げる技だ。エリーはあんまりいい顔をしないけどね。



 案の定俺を構えたエリーはぶすっとしてるし。”心配すんな”っていうんだけど”……リオがハーレム要員を増やさないか心配で……”ってそっちの心配かよ!


「よし最終確認だ。コホン、私の名前はリオリリーナで、商会の娘。エリーとトトリはその護衛でユグドラシルダンジョンに向かう途中で王都によった。OK」

「OK……だけどホント気をつけてよ。女の格好をしてるからってリオのかっこよさは全然隠せてないんだから!」


 エリーさんや、それはだいぶ身内贔屓入っていませんか?


「トトリも風魔法で調整頼む」


 といったところで聴衆が我先に離れだした。男を見やれば……


「まずい、あのヤロー周りの人間にぶつけるつもりだ。エリー! トトリ!」

「うん、いっくよー愛の合体技! リオ・ストライク!」

「魔法の方もなるべく抑えてみせます! 頑張って下さい!」


 というわけでぶん投げられたわけだがエリーはそういうの好きだねぇ……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る