第42話・奥の手を使ってしまったな……。
突如現れたイレギュラーボスの赤ローブ。
相手の見た目は前に戦った三メートル程のボロロープと似ているが、武器が細長い両手剣で取り回しが良くなっていた。
「カタカタ!」
「ぐうぅ!」
「アイシア!」
「だ、大丈夫よ!」
相手の一撃をカイトシールドでガードするアイシアだったが……。
踏ん張っているはずなのに反動を食らったのか、苦痛の表情を浮かべながら後ろに下がってしまう。
その姿を見て冷や汗を流していると、赤ローブが口から炎を吐き出す。
「アイスウォール!」
「おっ! ナイスだ冷血!」
「どうも!」
向こうが放つ炎のブレスは氷の壁でなんとか防ぐ。
赤ローブは空中に浮いており、
「ガタガタ!」
「余裕そうにしやがって……。アイスランス!」
「ッ! 氷室さんの魔法が弾かれました!?」
「前も見たぞこの光景!?」
コチラが放った氷の槍が簡単に砕かれた。
そのおかげで氷の破片が空中に舞う中、赤ローブはカタカタと笑いながら炎属性魔法を放ってきた。
「氷と炎なら向こうの方が有利だからな!」
「といいつつ斧で赤ローブの魔法をぶっきってないですか?」
「ハハッ!」
やっぱり郷田先生も戦闘狂なのかよ!?
まあでも見た目からしてわかっていたので、軽く突っ込む程度で止めておく。
「ホーリーランス!」
「ガタガタ!」
「ひ、光魔発ですか!?」
「何か問題はあるの?」
「い、いえ! なんでもないです」
アイシアが放った光の槍を相手は余裕そうに回避。
そのまま両手剣を構えてコチラに突っ込んで来るので、戦斧を持つ郷田先生が迎え撃つ。
「ハアァ!」「ガタガタ!」
互いに強化魔法を使っているのか武器がぶつかるタイミングで衝撃波が起きた。
そのせいで俺は吹き飛びそうになるが、近くにいたアイシアに庇ってもらいギリギリ持ち堪える。
「パワータイプの郷田先生でも不利なのかよ!」
「ただ今がチャンスよ!」
「ん? おう!」
「ホーリービット!」「アイスビット!」
郷田先生に前衛を任せながら俺とアイシアはビット系の魔法を発動。
作り出された複数の氷と光の短剣が赤ローブに向かって射出される。
だが……。
「ガタガタ!」
「やっぱり結界持ちかよ」
相手は郷田先生を吹き飛ばした後に半透明の結界で魔法を防御。
そのままコチラに向かって勢いよく突っ込んできた。
「お二人ともきますよ!」
「そんなの分かっているわ!」
今のやり合いで生半可な魔法が効かない。
なら魔力消費が大きいが、大技を放った方が良さそうだ!
そう思いながら前衛をアイシアに任せ、俺は赤ローブに向かって大技を放つ。
「アイシア下がれ! アイス・ブラスター!!」
「ッ!? ガタガタ!!」
アイシアがパックステップで相手から離れたタイミングで、アイスブラスターが直撃。
両手剣でガードしていた赤ローブがそのまま奥に吹き飛んだ。
「こ、これで倒せましたか?」
「……いや」
「おいおい、今の不意打ちでもそこまでダメージがないのかよ」
こりゃ本腰を入れないといけないな。
そう思っていると、アイシアが何かを思いたいのかコチラに叫んできた。
「ダンナ!」
「え?」
「悪いけど
奥の手……それっておい!
確かにアレを使えばなんとかなるかもしれないが。
自分の中で固まっていると、前衛の郷田先生と地上が赤ローブの攻撃を受けて地面を転がった。
「ぐうぅ! このままだと持ちませんね」
「だな! でもタダでやられるつもりはない!」
「……」
奥の手をつかえば勝てるかもしれない。
ただ周りに見られると悪目達がする可能性が……。
その狭間で色々思うが、アイツらを見殺しにするわけには行かないよな。
「少し手を借りるぞアイシア!」
「ええ! ってなんでコッチに来るの!?」
「だから
「物理的に!? って、アタシの魔力も使う気なの?」
「ああ!」
そりゃそうだろ!
前衛にいるアイシアの手を握った後。
ガタガタと余裕そうにしている赤ローブに向かって右手を向ける。
「色々思うところはあるがコイツで終わらせてやる」
「ガタガタッ?」
「な、なんだこの魔力放出は!?」
ここまできたらフルパワーで。
残っている魔力の大半を使いコイツにぶつけてやる。
「
「ガタガタ!?!?」
俺の奥の手である
この魔法を唱えた瞬間、俺の魔力は大幅に削られるがアイシアと手を繋いでいるおかげで補助が入る。
「魔力連鎖……」
「おいおい、この土壇場でリンクさせたのかよ」
二人が何かを言っているが今は無視。
空中に浮かんでいる赤ローブを魔法陣で拘束。そのまま俺はもう追加で大技を放つ。
「
「ガタガタッッ!!??」
コイツでどうだ!
体から抜けている魔力を感じつつ、拘束された赤ローブに向かって極太のレーザーが飛んでいく。
その直撃を受けた相手は結界をぶち抜いて天井の壁に直撃した。
「ハァハァ……」
「だ、ダンナ!?」
流石に魔力を使いすぎたな。
俺はバリバリと結界が割れていくのを見ながら、魔力切れの影響でゆっくりと目を閉じていくのだった。
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