第12話・知らんやつに絡まれたので言い返してみました
通常スタダは全国展開されているオシャレなチェーン店で、商品の一部が魔法の呪文みたいになっているが特徴。
その中でシンプルなアイスコーヒーを頼んで奥の席に着く、
「やっぱり緊張するな……」
「キリヤの旦那はスタダにあまり来ないでゴザルか?」
「数えた程度しか来た事がないぞ」
「そうなんでゴザルか!」
抹茶ラテにクリームが乗った飲み物を飲んでいる爆山さんに驚かれたんだが?
てか、俺は貴女みたいなオシャレじゃないしボッチだから来れないんだよ。
「周りがオシャレな美男美女の中にモブ顔がソロで来たら浮くだろ」
「? キリヤの旦那は塩顔系のイケメンでゴザル」
「なんか気を使わせてごめん……」
「気は使ってないでゴザルよ」
「お、おう」
なんでそこまで食いつくんだ?
見た目の話は家を出て行った母親が頭に浮かぶので胸が痛くなる。
まあでも、話のネタとしてはありがたく感じるな。
「一人で来るのか無理なら、吾輩を呼んで欲しいでゴザル」
「その時はお願いするよ」
「ウス! 好きな時に呼んでもらって大丈夫でゴザルからね」
「常識外の時は呼ばないからな……」
なんで俺の方が気を使わないといけないんだ?
というか芸能学科の生徒は爆山さんみたいに明るいやつが多いのは知っているが、違う意味で扱いづらいとは。
パシリなのに相手に振り回されている感じがしていると、コチラに声をかけてくる男女が現れた。
「あらあら、バカ山が彼氏ズレでノウノウとのんびりタイムかしら?」
「あんなクソみたいなライブ配信をしていて恥ずかしくないのか?」
「ッ! 昨日はたまたま事故っただけでゴザル!」
「トレントの群れごとにボコられただけで?」
なんかウザったい奴らが現れたな。
爆山さんに嫌味を言ってくる男女の女子の方は金髪ロングで吊り目で次々と嫌味を言ってくる。
対する男子の方はワックスを使っているのか茶髪のツンツンヘアーで見下すような視線をコチラに向けた。
「コイツらは芸能学科の生徒か?」
「去年ウチと同じクラスだった相手でゴザル」
「こんな無能と一緒にされたくないわ」
絡んできた男女の見た目は整っているが、性格が歪んでいるっぽい。
こういう奴らは無駄に言い返しても面倒なので無視するのが1番……なのだが。
ボロクソ言われて涙目になっている爆山さんを見て自分の中で何かがキレた。
「無能ね……。俺的には事故があったとはいえダンジョンに一人で潜ってライブ配信している爆山さんはすごいと思うぞ」
「へえ? 彼氏君はこの無能を擁護するの?」
「擁護じゃなくて事実を言っているんだが?」
「「ッ!?」」
イラッとしたので少し強めに睨み返してやる。
すると絡んできた二人は若干後ずさったので、チャンスと思いながら畳み掛ける。
「それに今のコイツは冷血である俺のパシリだ。つまりお前らは黒鉄学園のトップランカーに喧嘩を売っているんだな?」
「れ、冷血!? お前みたいな奴がトップランカーなわけないだろ?」
「そうか? ならコレを見ても言えるか?」
「「ッ!?」」
俺が取り出したのは学園用のスマホ。
中には自分のランクや称号が入った生徒手帳代わりが入っているので、それを見せると二人は固まった。
「ま、マジで冷血だったのかよ……」
「でもなんで冷血がそんな無能をパシリにしているのよ!」
「喧嘩を吹っかけてきたお前らに答えるつもりはないが?」
「え、えっ!?」
自分でも頭に血が昇っている。
そのおかげで冷静さがなくなっているので、手元にあるアイスコーヒーを一口飲む。
コレで少し落ち着きながら若干震えている二人に向かってトドメを刺す。
「それに去年の生徒会長みたいにお前らをフルボッコに出来るのは楽しみだな」
「なっ!? オレ達は芸能学科で戦闘学科じゃないんだぞ!」
「何を言っているんだ? 先に喧嘩を売ってきたのはお前らだろ?」
「「ひ、ひいぃ!?」」
凍えるような冷たい視線を二人に向ける。
すると彼らはガクガクと震え始め、周りにいたお客さんはコチラをチラッと見るが速攻で目を逸らしていた。
ただ相手は芸能学科なので、保険として追加で一つ忠告しておく。
「俺は優しいからもう一つ言っておくが、今の状況はボイスレコーダーに収録しているから情報部にタレコミしても無駄だからな?」
「そ、そんな……」
「さあ? 俺と戦うか尻尾を巻いて逃げるかどっちがいい?」
「「す、すみませんでした!?」」
こんな役回りはやりたくないんだけどな。
ガクガク震える二人は逃げるようにお店から出ていく。
その姿にお客さん達はザマァみたいな視線を彼らに向け、さっきから黙っていた爆山さんは顔を上げていた。
「だ、旦那、ウチのせいで少し震えているけど大丈夫ッスか?」
「お前は気にしなくてもいい」
「で、でも、旦那が無茶しているのにウチが何も出来ないのは辛いッス!」
「そ、そうか……」
爆山さんの好感度が上がった音がしたんだが?
ただまあ、ムカつく奴らを追い払えたのはよかったのでこのまま落ち着くまでティータイムをしたいな。
俺はテーブルに置かれたLサイズのアイスコーヒーに追加のガムシロップを入れていく。
「これで少しは甘くなったな」
追加でガムシロップを入れたアイスコーヒーは甘くなった感じが……。
うん、まだしっかり混ざってないから気のせいっぽいな。
さっきの自分を誤魔化すように俺はアイスコーヒーをストローで混ぜていくのだった。
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