襲撃①
響達が襲撃に気づく5分ほど前。
校内は騒然としていた。
それもそのはず、学外からの侵入者を防ぐ結界が破られたのだ。
異常としか言いようがない。
騒ぎの中、アカネは状況を把握する為に校舎内で1番高い時計塔へと登った。
他の校舎の結界が破られた様には見えない。
恐らく結界が破られたのは、ここ第一校舎だけ。
事故かしら?いやそんな事は有り得ない。
なら、誰が─────
「!」
アカネは悪寒を感じ身を屈める。
「今の避けるんかいな!?」
突如として背後に現れた魔術師。
黒い馬乗り袴に黒い鴉の半面。
右の手には日本刀が握られており、その刀身は濃密な魔力が込められている。
学園教師の中で優秀なアカネであっても、避けていなければ胴体が泣き別れになっていただろう。
「何者なのかしら?貴方」
今の今まで魔力を感じなかった……
こうして目の前で相対してから気づいた。
膨大なドス黒い魔力。
ここまで悪意に満ちた魔力なら、私の探知魔術に引っかかるはずなんだけど……
「誰って────」
ボン!
煙と共に学園の東地区に出現した大量の魔術師。
そのひとりひとりが学園生徒の平均の実力を大きく上回っている。
一部の生徒はまだしも、多くの生徒は襲われたら成す術がないだろう。
卓越した魔力制御で気配を絶っていた集団。
学園の結界を破壊する魔術の腕。
そんな術師の集団など数える程しかない。
まさか、その中でも最も危険な──────
「八咫烏やで」
###
「ん?」
俺最強マントマンこと近衛右京もまた襲撃前から異変を感じていた。
変やなぁ。なんか気色悪うなった。
強そうなんは時計塔の上におる奴と外におる2つか、他はモブやな。
モブとは言うても、学園の生徒レベルやったら負けるやろ。
うちが蹴散らしたるか。
右京は寮へ持っていこうと肩に担いでいたオルヴィスを保健室に投げ入れて駆け出した。
敵が現れるであろう場所は東地区。
距離は少なくとも3kmはある。
3キロメートル。
それは短い様でいて想像より長い。
徒歩ならば平均時速4キロで45分。
走ったとしても15分程度はかかるだろう。
世界記録でも7分を切る事は難しい。
しかしながら魔術師という存在はそれらを嘲笑うかの様に駆ける。
魔術師は刻印魔術による身体強化を行う。
それにより人の身体機能では到底行えない事も可能になるのだ。
そんな魔術師の中でも近衛右京は飛び抜けていた。
右京は刻印魔術を幾重にも重ね、通常よりも遥かに高い性能を引き出していた。
右京の東地区までの移動時間は約15秒。
まさに“異常”である。
「3」
右京はカウントダウンを開始する。
「2」
それが何のカウントダウンなのか考えるまでもない。
「1」
いわば死の宣告である。
「0」
煙が湧き立ち、和装の集団が現れる。
その集団はまだ右京の存在に気づいていない。
「蹂躙や」
右京は敵の首を掴み、地面に殴りつけた。
──────────
現代ファンタジーってつけてるのに全然現代じゃなくてすみません。
この章終わったら次は現代ですので辛抱ください。
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