1455年4.5.6月 学園編
方舟魔術学園入学
方舟魔術学園。
1000年を超える歴史を持ち、優秀な魔術師を数多く輩出してきた。
そんな学園の入学式が今始まろうとしていた。
「在校生を代表して心より歓迎致します。我々在校生一同、皆さんとともに学校生活を送れることをとても楽しみにしていました。祝辞の前に一つ申し上げなければいけないことがあります。本校は五つの学科によって指導方針が異なります。それ故に生徒間の衝突が多々ありますが、そこの所どうかご了承ください」
淡々と話す彼は恐らく生徒会長だろう。
髪を額の真ん中で分け、シャツのボタンを1番上まで閉めてネクタイをキッチリとあげている。
まさに正統派のイケメンと言うのが正しいだろう。そこいらのイケメンと比べて顔に華がある。
言っちゃ悪いが苦手なタイプだ。
「以上を持ちまして、歓迎の挨拶とさせていただきます。」
そんな事を考えているうちに祝辞は終わっていった。
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「え!?制服ってブレザーだけじゃなくてセーラー服もあったの!?」
入学式を終え校舎の見学をしている時、すれ違う上級生を見て蒼華が言った。
「なに?セーラー服が良かったの?」
「見た目は好きなんだけど機能性がねえ〜」
確か一説によるとセーラー服は重ね着しにくいとかで廃れてきているらしい。
まあ主夫的観点から言わせてもらうとセーラー服は夏とか毎日洗わなきゃいけないのがなぁ。
まあそれはワイシャツも同じ事なんだけど。
「ところで私達は何処に向かってるの?」
「知らずについてきたのか?」
「私は歩く災厄らしいから
「ああ、なるほど」
納得だ。
“まさに犬も歩けば棒に当たる”
いや、“蒼華が歩けば事件に遭う”か?
「で!何処行こうとしてんの?」
「図書館」
「図書館?」
「なんか聞いたところによると学園の図書館は世界一の蔵書数を誇る大図書館らしいんだ。流石に行くしかないでしょ」
「響、割と本好きだよね」
「割とというか大好きだよ」
本は自分の知らないものを教えてくれる。
会話は出来ないけど自分から話しかけにいったら必ず答えてくれる。だから好きだ。
前に同じ事を蒼華に話したら「私、本読まない」と一蹴されたが、まあコイツは生粋の漫画派だからしょうがないだろう。
それにしても「一回読んだんだから要らなくない?」と俺の部屋の本を勝手に捨てた時は殺意が沸いた。
「変な形の建物だな」
「確かに変だけど図書館としての実用性を考えれば最高だよ。本が日焼けしない様に窓の配置も考えられてるし、気温と湿度もカビが生えたりしない様に気象操作魔術で調節されてる。書架も出来るだけ手の届く高さにあるし、高いところは昇降式の床になってるおかげで誰でも本を取れる様にされてる。相当本が好きな魔術師が管理してるんだろうな」
「おお、いつになく饒舌…」
「本が好きなんじゃよ
「「!?!?」」
突如背後から声がした。
急に気配が現れた事に驚き、俺も蒼華も振り返りながら飛びずさる。
距離を離した事で気配の正体が視界に収まった。
驚くことに、そこにいたのは女児だった。
ふわふわと空に浮く女児だった。
流石に女児というのは失礼かもしれないが、それにしたって幼い。少なくとも俺より歳下だろう。
いくら魔術師の姿は当てにならないと言っても限度があった。
「おっと驚かせて悪かったの。儂は
自身の背丈より遥かに大きい白装束。
腰のあたりまで伸びた銀髪。
裸足でいるところを見ると今の様に浮いたまま生活しているのだろう。
魔術と生活が融合している。まさに“魔術師”だ。
俺達が警戒しているのを察して気を遣ってくれたのか。ひとりでに話し出した。
「いや何、初めて見る生徒がいたもんだから気になってきたんじゃよ。新入生か?」
「そうです。ついさっき入学式終わって」
「敬語なんて畏まらなくてもええわ!タメで話せ!タメで!栞ちゃんと呼べ!」
「んじゃ、よろしく文々」
「妥協点じゃの」
どうやら名字呼びで許してくれた様だ。
キレられて暴れられたら溜まったもんじゃないからな。文々の実力を考えれば今の俺や蒼華でも勝てないだろうし出来るだけ地雷を踏まない様にしよう。
と、思った矢先。
「栞ちゃん。のじゃロリじゃーん」
蒼華が文々を指さして言った。
それはもう馬鹿にする様に。
どうやら俺の読み通り蒼華の言った言葉は文々にとって地雷だった様で──────
蒼華は図書館の外へと殴り飛ばされた。
─────────
響はパンツスタイルの制服です。
蒼華はスカートの日もあれば、スラックスの日もある。その日の気温によってコロコロ変えてる。
黒いスラックスに白いシャツ。
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