第2話 悪霊の処理と救護活動
「……霊術?」
突然燃え上がった悪霊を目の前に、負傷した左肩を押さえながら少女はそう呟いた。
「グアエアエウウアアアッ!」
突然炎に包まれた悪霊は体を焼かれる苦痛に叫び声を上げている。
「ナイスだ楓」
成人男性から楓という少女への称賛の声が聞こえた直後、悪霊がバラバラになって消滅した。
「襲われた人は生きてる?」
「ああ、負傷してるが命に別状は無さそうだ」
「よかった」
少女の方へ向かってきた2人の人間。片方はおそらく成人男性で、もう片方は楓と呼ばれた負傷した彼女と同年代の少女だ。
「おい、大丈夫か?」
「……はい」
「大丈夫なわけ無いでしょ」
「右肩の傷が結構深いな」
「亮介なら治せる?」
「ああ、やってみる」
楓が亮介と呼んだ成人男性は少女の右肩の患部にお札の様な物を張り付けた。
傷口からは血が流れているが、なぜかお札には一切血が染みていない。
のりなどの接着剤無しで張り付くのもどこか変だ。
「よし、やるぞ」
『呪符霊術 治癒』
少女の患部から光が漏れ、少しずつ傷が治癒していく。
「綺麗に治ったね」
「肩は、な」
「どういうこと?」
「さっきから楓が気にしてるそのガラクタだ」
「これがどうかしたの?」
「3階を見てみろ」
「……まさか」
「この子、3階からさっきの悪霊に落とされたらしいな」
「椿呼んだ方がいいんじゃない?」
「大した治癒が使えない俺達じゃ下手にに動かせねえし、そうするか」
亮介がズボンのポケットからスマホを取り出し、誰かに電話を始めた。
「椿。女子高生が悪霊に3階から落とされたみたいなんだ」
「了解、今から行く」
「ああ、頼んだぞ」
「よし、俺達はどうする?」
「この人に話しかけるとか? 意識が飛ばないようにするためにも」
「やってみるか」
「なあ」
「……はい」
「痛いか?」
「……」
少女は亮介から投げ掛けられた質問に無言で頷いた。
霊力で体を守ったとはいえ、受け身をとれず体を強打したのでダメージが大きい。
少女は少しずつ意識が薄くなっていくのを感じる。
亮介が必死に呼び掛けているが、その声に反応することはなく、彼女は意識を手放した。
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