◆NTR宣言
「出場権かー」
「灯、それ出るの?」
「うーん、考えておく」
一応、出場権のチケットを受け取る灯。一応、女性も出場可能らしいし、出たらそれはそれで面白そうではある。
もう少しだけゲーセンで遊び、クレーンゲームなどでぬいぐるみをゲット。満足して帰った。
じっちゃんに連絡をして合流することに。
外の駐車場でしばらく待つ。
「今日は楽しかったよ、灯」
「わたしもデート最高だった。次もどこかへ行こ」
「そうだな。また近い内に」
「うん、決まりだよ!」
その数分後には、じっちゃんが現れた。ニヤニヤとからかうかのように俺と灯を見つめる。なんか期待しているようだけど、なにもなかったゾ。
「正時、灯ちゃん、楽しんだかい!」
「ああ、じっちゃん。おかげで最高だったよ」
「そりゃ良かった。それじゃ、帰るか」
「うん、帰りも頼むよ」
結局、じっちゃんには最後まで付き合ってもらってしまった。でも、本人も買い物やら買い食いを楽しんだようだ。
車へ乗り込み――家へ。
まずは灯の家へ送った。じっちゃんが。
到着して、俺は家の前まで送った。
「今日はありがとね、正時くん」
「こっちこそ。すっげー楽しかった」
天使のような笑顔を向けてくれる灯。その表情に俺は癒された。こんな充実した時間を過ごせるなんて、生きていて良かった。
灯と別れ、俺は再びじっちゃんの車へ。
「よし、出すぞ」
「うん、じっちゃん」
しばらく静かな時間が流れた。
そんな空気の中、じっちゃんが話しかけてきた。
「正時。お前、灯ちゃんと付き合うようになってから明るくなったな」
「そ、そうかな」
「以前のようなトラウマも出なくなったようだし、元気になって良かったな」
「姉ちゃんのおかげでもある。カウンセリングで俺のメンタルケアをしてくれたし」
「そうだったな。お姉ちゃんにも感謝しておかねばな」
「ああ。そうする」
◆
家に戻ると、なぜか見知った顔が玄関前に立っていた。
ソイツは俺のところまで来ると凄んできた。
「……待っていたぞ、熊野!」
「き、君は前島くん。どうして俺の家の前にいるんだよ」
「お前の住所を調べるなんぞ簡単さ。そんなことよりも……この前のマラソン大会では負けた。それは事実だ」
「ならもういいじゃないか。俺と灯は付き合っているんだぞ」
「関係ないね! 大体今日のデートらしきアレはなんだ? デートのつもりか!? バカバカしい!」
「なんだと……。って、なんで知っているんだ」
俺ビックリした。
前島くんがなぜか俺と灯のデートを知っていたからだ。
「今日はずっとお前達を尾行していたからな」
「なんだって!?」
「三沢さんの家も分かったし、映画館でゾンビ映画も楽しめた。それにガチャガチャとゲーセンも見させてもらった」
「ストーカーかよ! キモいな!」
「黙れ。だけどな、熊野! お前は普通すぎてゴミだ!」
「普通のデートにイチャモンつけてくんな。てか、灯は満足してくれたんだぞ!」
「ペッ、ペッ! あんなので満足ぅ!? ふ・ざ・け・る・な! つまらん、実につまらん! 平凡以下!」
コイツ、言いたい放題言いやがって……ブン殴っていいかな!?
大体、前島くんは俺に負けたんだから手を引くべきなんだ。俺と灯は上手くやっているし、入る余地なんて誰にもない。
だから学校の連中も諦めていた――はずだった。
前島くんだけは諦めが悪かった……ということか。
にしたってストーカー行為はどうなんだ。気色が悪いぞ。
「帰れ!」
「帰らん! いいか、熊野! 宣言してやるッ!!」
「あ?」
「三沢さんを襲ってでも寝取ってやる!!」
「な…………なに?」
コイツ、堂々となにを言った!?
灯を寝取る!?
ふざけるな!!
「お前にふさわしくないんだよ。熊野、お前を徹底的に苦しめてやる!!」
「てめえええ!!」
「フハハハッ!! アハハハハ!!」
前島くんは高笑いしながら、逃げ去った。くっ……逃げ足の早い。
まさかこのタイミングで寝取る宣言をされるとは思わなかった。てか、堂々と宣言してくるとは思いもしなかった。
まずいな、灯の身が心配だ。
すぐに連絡を取るか。
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