ラーメン

 ゲーセンの方で格ゲーした後にプリクラを取り、その後は三人でクレーンゲームを使って多くの景品を獲得など、思う存分遊びつくして、その後は当初話していた通りにラーメン屋の方にやってきていた。


「おっちゃん、いつもの頼むぜ」


 僕たちが行きつけのラーメン屋。

 そこへとやってくるなり蓮夜が元気よく注文を一つ。


「おっ?いつもので良いのか?」


 まだ誰もいない店内。

 そこに立つ店主のおっちゃんが疑問の声をあげる。


「おめぇもTSしているんだろ?それでいつものでいいと?」


「あん?いいんだよ、食えるわ!」


「そう言って食えんやつもいるからなぁ……残されても困るのだが」


「まぁまぁ、おっちゃん。いざとなれば僕が代わりに食べてあげるから。蓮夜にはいつものラーメンを食べるよ。案外食べられるって」


 僕は蓮夜とおっちゃんの話に割り込んで口を開く。


「おう?そうか、それじゃあわかった。おまえはいつものでいいのか?」


「うん、いつものでいいよ。二杯食べてあげるよ、もう」


「あっ……僕はちょっと男の時と同じように食べられる気がしないから、少なめでお願いしたな」


「あいよ」


 僕たち三人の注文を受けたおっちゃんは厨房の方に向かっていく。


「……クソ、俺だって普通に食べられるってよ」


「はいはい、文句は兎も角として席の方に行こうね。あまり文句を言うと失礼だよ。僕はお水の方取ってくるか先に席の方にお願いね」


「はーい」


 僕の言葉に陽太が頷き、蓮夜と共に席の方に向かっていく。


「ふんふんふーん」


 自分がお冷を三つもって二人が先に席へとやってきたとき。


「俺はちゃんと食べられるっていうのに、なんであんな風に言われなきゃいけないのだ。いくら、体が女になったからって、そんな大きく変わったわけじゃない。俺の行動は何も変わらない……っ!」


 未だに蓮夜は不満そうに頬を膨らませていた。


「まだ言っているのか、いい加減許してやれよ」


「……だが!」


「それで食べられなければ大恥だぞ?」


「だが!」


「おっちゃん視点ではもう何度も残されているのだろう?自分が丹精を込めて作ったラーメンを少しくらい疑惑の声だって言いたくなってしまうだろうよ」


「……うぅ。確かに、それはそうかもしれないが」


「だろう?だからおとなしくラーメンが来るのを待っていようぜ。余裕こそがいい男の証なのだろう?」


「……っ、そう、だったな。仕方ない。ここで俺が食べきって平気だってことを見せつけてやろう」


「おう。その域だ。じゃあ、僕はちょっとトイレ行ってくる」


 おっちゃんの方に蓮夜の複雑な状況ゆえに配慮するよう告げるため、僕はトイレと言って離席するのだった。

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