放課後
結局のところ、例え徐々に蓮夜が女の子のほうに心が寄っていくのだとしても、僕が行う態度は何も変わらない。
これまで通りに友達で居続けるだけだ。
「今日はどこかに寄っていく?」
いつものように、陽太と蓮夜の二人と一緒に高校の方から出てきた僕はどこかに寄っていくかと声をかける。
「おっ。今日もどこかに行くか?俺はそうだなぁ、ラーメン食いたいな」
「ラーメンかぁ。いいな、それ」
「……ぼ、僕はパンケーキとかを食べてみてかったり」
「……パンケーキ」
「パンケーキとかは何か夜ご飯感なくない?」
蓮夜の表情が少しばかり曇ったのを見逃さなかった僕はサラッと話を流そうとする。
「そ、そうかな?」
「うん、そうだと思う。僕の近所のお姉ちゃんも夜ご飯にパンケーキを食べている姿は見ないからね。だから、パンケーキは今度食べに行こう?」
「うん、行こうね!絶対だよぉ!」
「わかっているよ……それで?蓮夜は来る?」
「いや、俺はいいや。二人で楽しんできてくれよ」
「わかった」
僕は蓮夜の言葉に頷き、視線を陽太の方に戻す。
「それじゃあ、今度の土曜日にでも行こうぜ」
「う、うん!そうしよ!つ、ついでに私の買い物とかにも付き合ってよ」
「うん、いいよ」
僕は陽太の言葉を快諾。
ここはちょっとだけ我慢してもらう形になったのだし、それくらいは喜んで受け入れてあげようではないか。
「んじゃ、さ。ラーメン食いに行くとして、さすがに時間があれだろ」
「まぁ、まだ夜って時間ではないな」
「そうだね……まだ、そんなにお腹はすいていないかも」
「だろっ?ということで、いつも寄っているゲーセン行こうぜ?今度こそ格ゲーで勝つわ」
ゲーセン。
そこは僕たち三人の聖地である。
「おっ?お前が俺に勝てると?」
「ふふふ……また僕にボコされたいと?」
「うっせーぇ、今度は勝つから」
ちなみに、なぜかゲームの腕前はかなり僕が下がってくる。
今のところ二人に勝てた記憶がない。
毎回僕がボコボコにされている気がする……だがしかしだ。
「昨日。めっちゃ強そうな配信者の配信を見て僕は成長したから。圧倒的な力をお前らに見せてやるよ」
今日の僕は一味違うのである。
「おっ?それごときで成長した気になっているのか?」
「ふふふ……滑稽だよね。その程度で僕たちに勝てるほど甘くはないよ?」
「うっさいやい!目にものを見せてやるからな!」
僕は二人と共に、やいのやいの言いながらいつものようにゲーセンの方へと向かっていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます