閑話 空の先、咲き誇る朝日
飛行機に乗り込んで数時間が立った。
機内食はそこそこ当たり、と言うか馬鹿舌関東リーグに出場できるくらいのレベルである私的には、とても美味しいと言えるレベルの食事だった。
煌々と輝く満天の星空の数倍も煌めいている首都圏を、飛び立つ飛行機から眺め、とても非日常な気分だったのもあるだろう。
しかし、いや。いくら簡易的な機内食とは言え、温かい牛肉が美味しくないわけがなかろう。パンに肉と言うベストコンビ。カラットした機内のせいで乾いた喉を潤すサラダとコーラ・それに加えてデザートのチョコレートケーキ。普通に、豪華な有色である。
旅が始まって早々にこんな食事が食べられるなんて、いやぁ幸先が良いものだと思った。
美味しい食事の後味を楽しみつつ、この先出会うであろう、まだ見ぬ食事に私は期待を膨らませた。
その後はゲームをしたり、本を読んだりと楽しく過ごしたわけだが、一つ問題があった。
寝られねぇ。
私は基本、どこででも寝ることができる。通学中の電車内はもちろん、昼休みの喧噪の中でも寝ることができる。それは私が思うに慢性的な寝不足によるものであるわけなのだが、幸か不幸か、昨夜はとても良く眠れていた。
もちろんエンジン音が機内に響きまくっていると言うのもあるが、それ以上に眠気が来ない。
ニュージーランドと日本は時差がほとんどない。日本の直下にあり経度がほとんど一緒なので、当然である。そして、成田を出た六時の十一時間後に向こうの空港に到着する。
つまり、このまま機内で一睡もできないとなると、朝に現地についてから丸一日活動することになる。
ただでさえ疲れる旅なのに、徹夜で丸一日活動するなんて、土台無理な話である。
私は、それはもう寝る努力をした。
だが、寝よう寝ようと思えば思うほど寝られないのもので、私は到着までの時間が残り半分を切るくらいまで寝ることができなかった。
ようやく寝て、寝たということは目を覚ますわけだ。
そうして「さて、どれくらい経ったか」と時計を見ると一時間しか経っていないではないか。
私は寝ることを諦めた。ゲームをして、音楽を聴いて、ゲームをして……
なんとか気を紛らわしているうちに、外は次第に明るくなっていった。
窓の向こうには空色――白よりも白い、青よりも青く、黒よりも黒く、まさしく
空の色としか言う事の形容することのできない透き通った世界。
その中で、神の威光を放ち浮かぶ朝日。
あぁ、美しいな。耐久し続け、思考力がだいぶ落ちた頭だったが、私はしっかりとその麗しさを感じた。
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