EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)35

クライングフリーマン

日本刀とハープーン

 ======= この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

 本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。

 大前(白井)紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

 芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。

 芦屋二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー。

 芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。

 小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

 真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。

 指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレ。

 友田知子・・・南部家家政婦。芦屋グループ社員。


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 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

 ==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==


 午前9時。EITO大阪支部。会議室。

 マルチディスプレイに小柳警視正が映っている。

「闇討ち、ですか?」

「ああ、住吉区、生野区、旭区、西区の市営住宅で午後7時頃だ。各区で数件。共通点廃校になった小学校の近く。単に偶然かも知れないし、これから広がるかも知れない。その時間帯に帰宅した自転車やバイクが狙われている。路地の暗がりから、日本刀で袈裟懸けだから、傷は浅くない。手分けして、パトロールしてくれ。」「武術顧問の松本さんに加わって貰っていいですか?」「ああ。勿論だ。二美君は剣道も出来たね、確か。そうだ、いずみ君も剣道出来たな。編成は任せる。」

「よし。夜まで時間があるな。午後から一旦帰宅して、再集合しよう。上手く行けば、致傷事件を防げる。1人か複数か知らんが、立派なテロや。総子、班分けしといてくれ。用賀君。ホバーバイク、慣れたか?」

「はい。ホバーバイク使うんですか?闇討ち退治に。」「ああ。逃がす訳にいかんからな。よろしゅう頼むで。」

「了解しました。」と、用賀は返事をした。

「警視正。各市営住宅に、モグラの出口を作るのは、どうでしょうか?」

「詰まり、廃校近くの市営住宅の出入り口に警察官や警備員の配置を多くして、作っておいた『隙』におびき出すんだな。そして、被害者も配置。了解した。漏れは出るかも知れんが止むを得ん。犯人を一人でも捕えたら抑止力になる。警邏を多くして、警備会社にも応援を頼もう。」と、小柳警視正は即答した。

 総子は班分けし、簡単な打ち合わせをして、メンバーは解散した。

 午後6時。総子のマンション。

 友子の作った、おにぎりを平らげた総子は言った。

「ええの?幸田達に手伝って貰って。」「ああ。午前中に仕事終ったからな。それより、日本刀持ってるんやろ?気をつけてな。」「うん。」

 2人の会話を、友子は笑って見ていた。

 午後7時頃。住吉区の、ある市営住宅。

 ある男が、バイクを走らせて来る。ハンドルにスマホを固定してある。男は、スマホをチラ見しながら、運転している。暗がりから、日本刀が振り下ろされた。

 その日本刀は、弾き跳ばされた。EITO大阪支部武術顧問の松本だった。

 松本の持っているのは、竹刀である。松本は、胴を入れた後、日本刀男の鳩尾拳で叩いて、倒した。

 バイク男は言った。「本当に、マジで真剣ですか。」「ああ。マジで真剣だ。この男は暗がりと道具を使っただけだな。」

 隠れていたジュン、真子、みゆきがやって来た。「師範。ありがとうございました。」

 午後7時頃。生野区の、ある市営住宅。

 ある男が、スマホをハンドルに固定した自転車でやって来る。男は運転しながら、スマホをチラ見している。

 暗がりから、日本刀が振り下ろされた。その時、ホバーバイクが飛来し、ハープーンを突き出し、日本刀を弾き跳ばした。

 ホバーバイクとは、民間開発の『宙に浮くバイク』で、EITOが採用、改造して運搬や戦闘に使っている。ハープーンとは、『銛(もり)』の事で、煽り運転の車対策に生み出された武器で、最初は指定した車にのみ搭載されていたが、戦闘用にホバーバイク用が作られた。銛と言っても、先端はゴム製で、飽くまでもけん制用である。

 用賀が言った。「ご苦労様。こんな恐いエキストラは初めてだろ。」「いえ、爆発の中、走って逃げるのは得意ですから。」

 自転車男は、南部興信所の所長が、知り合いの東栄の契約スタントマンだった。

 隠れていた、ぎん、美智子、真美がやって来た。「失敗したときの事、考えてなかったかな?」と、ぎんは呟いた。

 午後7時頃。旭区の、ある市営住宅。

 電動アシスト自転車が走って来る。

 暗がりから、日本刀が振り下ろされた。日本刀は、ブーメランで弾き跳ばされた。

 いずみが、後ろから走ってきて、面を入れ、胴を入れると、日本刀男は簡単に倒れた。

「事情は、警察でちゃんと説明しいや。」と、総子は言った。

 隠れていた、祐子、悦子、真知子が現れた。

 午後7時頃。西区の、ある市営住宅。

 電動キックボードを走らせる男がいた。スマホを持っているが、見る余裕はない。

 暗がりから、日本刀が振り下ろされた。その日本刀は、シュータで弾き跳ばされた。

 シュータとは、EITOが開発した、うろこ形の手裏剣で、先端に痺れ薬が塗ってある。

 バイクがやって来た、二美の後ろから弥生がシュータを投げたのである。

 隠れていた、稽古、あゆみが現れるのを見た日本刀男は、手首を押えてしゃがみ込んでいたが、反対側に向かって、走り出した。

 その先に、まばゆい光が見え、近寄って来た。幸田と倉持が、工事用のラヘルメットヘッドライトの下から、幸田は言った。「工事中やから、通行止めやな。」

 午後8時。大阪府警。取調室。

 日本刀男の聴取をした、小柳警視正が、真壁と一美に言った。「黒幕は、塩見商会だ。」「半グレですか?ダークレインボーじゃないんですね。」と一美が確認した。

「うん。銃刀法違反で引っ張れるな。真壁。礼状の手続きだ。一美はEITOに連絡をしてくれ。」2人は声を揃えて言った。「了解。」

 午後9時。此花区。塩見商会の別荘。

「迷子の、迷子の子猫ちゃん、あなたのオウチは、ここですか?」

 EITOエンジェルスのコーラスに、塩見商会の社長以下、社員が外に出てきた。

「どなたさんかな?近所迷惑でしょうが。」と、専務が言った。

「素人に、『敵討ちさせてやる』って、日本刀売りつけるのは、世間の迷惑とは違うのかな?」と、二美は言った。

「何?」専務の顔色が変わった。

「ああ、図星ですか?それなら、全員逮捕ですね。」二美は揶揄った。

「逮捕?」社長が顎を捻ると、社員達は、中に日本刀を取りに行き,戻ってきた。

「おーまーえーはーあーほーかあ?」と言って現れたのは、総子とEITOエンジェルズだった。

 総子は、いつもの口上を言った。

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと我らを呼ぶ。参上!EITOエンジェルズ。満を持して。」

「なんや、あのチビは。」と、塩見社長は言った。

「今、何て言うた?チビって言うたか?」総子は、背後の隊員達に言った。

「言いました。」「聞こえました。」「確かに。」口々に、ぎんたちは言った。

「なんやと、くらあ!!チビって言うたんか、アアああああああああ!!」

 総子は、日本刀を持った、塩見社長目がけて突進し、バトルスティックとバトルロッドで体を滅多打ちにした挙げ句、塩見の刀を弾き跳ばした。

 刀は、3つの部品になり、『三枚下ろし』が完成した。

 専務達は、その場に平伏した。だが、総子は尚も攻撃態勢を崩さなかった。

 祐子、真知子、ジュン、ぎんたちは、必死に総子にしがみついた。

「チーフ、止めて!殺すのは止めて!!」

 その時、一美がEITOエンジェルズ姿でホバーバイクに乗って飛来、総子の額にメダルを投げた。

 総子がひっくり返った。一美が、長波ホイッスルを吹いた。

 長波ホイッスルとは、犬笛に似た笛で常人の耳には聞こえない。これは、警官隊への『作戦終了』の合図だ。

 間もなく、警官隊がやって来た。

 二美は佐々ヤンこと佐々刑事に言った。「終ったわ。」

「チーフは、ドナイしたんや。」と、祐子達に両脇を抱えられて歩いて行く総子を指した。

「燃料が切れたのよ。お陰で、私達は出番なし。」と、二美は、事もなげに言った。

 ―完―


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EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)35 クライングフリーマン @dansan01

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