話し合い
世界が僕を崇拝している。
まさしく、世界そのものが……僕の為にあると言っていいっ!
「ふぇぇぇ、きもちいいよぉ」
僕を神と崇めるものから、世界の敵とするものまで。
今や世界の人、すべてが僕のことを見てくれていると言っても過言ではなかった。
「んんっ」
そんな中で、僕は再び日本政府の方からお呼ばれしていた。
「……あの、良いだろうか?」
「……すぅ」
現実逃避と言わんばかりにスマホを見て愉悦していた僕は話しかけられて息をのむ。
「あの、えっと……」
今回は対面で呼び出されていた。
今の僕は桃葉の隣で、多くの政府関係者に囲まれながら座っているのだ。
しかも、なぜか、相手は総理大臣やその周りだけではなく、前世からの交流もあった攻略組主要メンバーまでいるのだ。
「……」
あの、前回の筆談での話はどうなったんですかねぇ?あの形式が……い、いやっ!今や僕は世界中から注目されているもの!
へ、へへ……ぼ、僕が話した、してもだよね?う、うぅん……。
「は、話して、良いよ?」
「……っ!?」
は、話せたぁぁぁぁぁあああああああああああっ!
「それでは、失礼して……」
「お待ちをっ!」
僕の言葉を受けて話し出そうとした総理大臣の言葉を遮って、攻略組主要メンバーの一人。
周りから聖女と呼ばれており、僕よりも優れた回復能力を持っている女性、河野花林が声を上げる。
「あ、貴方は……貴方様はっ!影入様の生まれ変わりでしょうかっ!?」
「さ、様……?いや、その……う、うん。そ、そう……だね」
観音菩薩を見せた後だ。
ごまかせるわけがない。
僕は花林の言葉へと素直に頷く……それにしても、様?えっ?なんでこの人ってば僕のことを様付けしているの?前世じゃ基本お喋りしていないよね?
「あ、あぁぁ……あの人が、あの人がこうして、生を受けているなんて……私はぁ」
困惑の感情を抱いた僕の前で、花林は急に崩れ落ちて涙を流し始める。
いや、彼女だけではない。ほかの攻略組のメンバーも大きく感情を乱しており───その、反応は。
僕が生きていてうれしい。
そんなような反応だった。
「えっ……?ぼ、僕のことを、みんなは嫌っていなかったの?」
嫌われている。
ずっと、そう思っていた僕は攻略組の面々の反応を見て、心の底から困惑の声を上げるのだった。
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