真相

 嫌われている。

 僕はずっとそう思っていた。


「いや、そんなことはないよ!」


 それを吐露させる僕の言葉である。

 だが、それを河野粟生は力強く否定してくる。


「そ、そう、だった、のぉ?」


「あぁ、そうだ。というか、あれだけ助けられていた中で嫌われているとかありえないだろう」


「で、でも……忘年会とか誘ってくれなかった」


「さ、誘って良かったのか?む、むしろ俺たちの方が嫌われているのかと思っていたぞ。まともに会話などもしてくれなかったわけだし」


「うぐっ……」


 いや、うん……確かに、そうだね……いや、本当にそう。


「ぐぅ」


 ぐぅの音を出すことで精いっぱいだ。


「そ、そうですよ!私たちは嫌ってなどおりませんっ!」


 僕が河野粟生に衝撃を受けて固まっている間にも、花林などが追従して声をあげてくる。


「そ、そっか……そう、だったのね」


 なるほど……勝手に僕が萎縮していただけだったか。

 うぅ、もしかしてだけで前世の僕がパッとしなかったのって自分のコミュ障が原因だった?女になったことなんてほとんど関係なかった可能性も。


「これからはいっぱい話しかけましょう!貴方様がそう望んでおられるのであればぁっ!!!」


「うわっきゅ!」


 僕は自分へと勢いよく抱き着いてくる花林に思わず悲鳴を上げる。


「もー、ずっと一緒!貴方様への我々の気持ちを伝えますよ!」


「……俺たちがもっと、君を恐れずに近づけばよかったな」


「わりぃ。俺たちは、あんたがまだ幼い少年だってことを完全に失念してしまっていたよ……本当に、申し訳ない」


「我々政府としても、しっかりと君のサポートをするべきであったよ」


 そんな僕へと口々に色々な人が言葉を告げていく。

 そして、自分の周りに多くの人が集まってくる。

 それを前に思わず目を回してしまっている僕は助けをも止めようと桃葉を探して───。


「……あれ?桃葉?」


 そこで。

 確かに、この場へといたはずの桃葉がいなくなっていることへと疑問の声を上げるのだった。

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