騒動の終わり
ダンジョンスタンピードは終わった。
たった一人の少年の活躍によって、世界中で起きていたダンジョンスタンピードが終わりを迎えたのである。
ダンジョンスタンピードが世界にもたらした被害は大きかった。
今回のダンジョンスタンピードは規模が大きかったの加え、冥層の魔物も発生したことがあり、発展途上国のみならず先進諸国も甚大な被害を受けた。
累計の死者数は軽く数億を超えるであろう。
そして、ダンジョンスタンピードがもたらした二次被害によってもこれから、さらに多くの人が死んでいくことになるだろう。
そんな被害を受け、世界各地で今後、二度これほどの被害を出さないようにするための議論が巻き起こると共に、何故急に全世界のダンジョンスタンピードが終わり、魔物が消えたのかについても議論が起きた。
「……マジで?これ」
「これが、実際にいる……?」
「本物の映像だというのか、これは」
だが、そんな議論を一瞬で吹き飛ばすような一時間弱の動画が極東の島国で投稿された。
その内容とは一人の少年が観音菩薩を背負ってありとあらゆる天災でもってしてダンジョンを踏破していくような内容であった。
「おー、神よ……」
その様はまさに神そのものだったと言えよう。
彼の存在が世界に与えた衝撃は異常であった。
その子を神とし崇める。仏に至った現人であると崇める。
ダンジョンを生み出した者として排除を叫ぶ。
これらはまだ良かった。
問題は新約聖書であった。
「あぁ……天使のラッパが吹かれた」
ヨハネの黙示録より。
五番目の天使がラッパ吹きを吹くとき。
『一つの星が天から地に落ち、底知れぬ所まで通じる穴を開け、底知れぬ所の使を王としているイナゴ達が大きな煙とともに飛び出し、額に神の印のない人達を襲い、さそりにさされる時のような苦痛を五カ月間与える』
人々はこれを幻視すると共に、あらゆる天災を起こす力を持つ彼を第六のラッパ吹きにおける二人の神の証人と見たのである。
「おぉ……イエスよ」
ヨハネの黙示録における内容の現実化。
これをもってキリスト教の過激派が増え、世界の救済が為を叫び出したのだ。
世界宗教の過激化。
これが世界に与える影響は、混沌とした世界での影響は、もはや考えたくもないほどである。
そんな中。
話題の当の本人はというと───。
「うっひょーっ!世界が、僕を見ているっ!あぁ、そうだ!僕こそが神だっ!みんな崇めて!僕を見てっ!」
世界をさらに混沌に陥れそうな思想をもち、強めの承認欲求を暴発させようとしていた。
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