本気
自分の前にいる冥層の魔物の王。
それは超巨大な亀の魔物であった。
その巨躯はまさに山そのものであり、空から彼を見下ろす僕でもその全容を見ることは出来ない。
「ふふふ……」
死んだときの苦しみ。
あれは今でもしっかりと、色濃く覚えている。
あの命を閉ざす感覚は、忘れられる気もしない……ふふふ。
「君は一切関係ないけど憂さ晴らししてあげる」
同じ冥層の魔物の王同士。
ちょっとした復讐してみてもいいだろう。
「ということでドーンっ!」
僕は一切迷うことなく能力を発動。
雷雨に数多多くの金属片を纏った四つの巨大な竜巻がこの場に現れ、冥層の魔物の王へと襲い掛かる。
「さすがに光じゃ無理だな」
これだけ大きいとあくまで一点火力が高い光武による攻撃はあまり効かなそう。
「……地割れを起こしても特に意味はないか」
結局、これだけバカでかいやつを相手にするなら巨大な竜巻で四方を囲んで削り続けるのが一番か。
僕は竜巻の中に相手へのダメージを入れられるようなものを次々と出現させていく。
『うぅぅぅぅぅううううううううううううううっ!』
竜巻によってゆったりとした歩みを止められ、甲羅を含めてその体を大いに削られている冥層の魔物の王は空気全体を震わせるような声を響かせると共にその口元へと魔力がどんどんたまっていく。
『ガァッ!』
そして、放出。
魔力によるビームが冥層の魔物の王の口元から放たれる。
「あっ?辞めてね」
それに合わせて僕は観音菩薩を展開。
仏の心のように広い手の平が相手の攻撃を容易に受け止める。
「阿修羅」
攻撃を受け止めてみせた観音菩薩。
それへとさらに魔力を流し込んだ僕はそのまま観音菩薩を攻撃へと流用する。
阿修羅と化した観音菩薩は苛烈に冥層の魔物の王を攻め立てていく。
「……終わったかな」
もはや冥層の魔物の王であっても何もできないだろう。
ここまでデカいと逆に的だな。
「帰るか」
あと数分もすれば猛攻に耐え切れず冥層の魔物の王は力尽きるだろう。
もはや数分待つ必要もないと判断した僕は地上の方へと引き換えしていくのだった。
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