最強
圧倒的な力でもって魔物を引きちぎり、最初以外にもどんどんと現れてくる冥層の魔物にも決して怯むことなく戦い続ける咲良。
『コメント』
・うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおっ!
・すっごぉ。
・俺たちは今、伝説を見ているのかもしれないなぁ。
・マジですげぇよっ!
そんな彼を前にしてカメラ越しにその様子を眺めている視聴者も大盛り上がりとなる中で、桃葉は呆然と立ち尽くしている勇者、河野粟生へと声をかける。
「お久しぶりです」
「……えぁ?あ、あぁ……君か。久しぶりだね」
河野粟生は話しかけられたことに一瞬動揺を示しながらも再起動し、桃葉へと視線を向ける。
「はい。現在はどういう状況でしょうか?」
「スタンピードの状況かい?……それなら、あの子次第だよ。地方の方は問題ない。今のところ救援要請もなく、どこの地方も問題なくしのげているようだ。唯一、しのげそうになったここにおいても、彼女が救援に来てくれたからね」
「……そう、ですか。それなら良かったです……彼女はいなければ今頃日本は終わっていたのでしょうか?」
「……いや、本来は俺たちにも頼れる。真の最強がいたんだよ」
「真の、最強……?」
「あぁ、そうだ。どのような状況下であっても物事を解決してくれる。そんな人がね。まぁ、今はもう……亡くなってしまったが。その時に、俺は日本が終わったと思ったよ。でも、彼女のような英傑がまた現れてくれた。日本という国の灯は、そう簡単には消えなそうだよ」
「……そう、ですか」
河野粟生の言葉に頷いた桃葉が再度、一生懸命戦っている咲良の方へと視線を戻す。
そこではダンジョンから飛び出してきた三体のドラゴンに雷を落とすことで地面へと叩き落すと共にその三体のドラゴンの巨大な体を三体まとめて掴み、それを丸太のように振り回して武器としている彼女の姿があった。
すべての攻撃を通さないと言われているうろこに覆われるドラゴンの体は最高の武器となっていた。
魔物たちが何も出来ずにたんぱく質の塊へと変えられていく。
『あぁぁぁぁぁっ!!!』
そんなドラゴン丸太に対して、ダンジョンよりのそっと現れた巨人の魔物が自身の手にあるこん棒を振るうことで叩き降り、無効化してみせる。
『……がぁぁぁぁ』
だが、その次の瞬間には咲良が巨人の首だけを文字通り蹴り飛ばしていた。
「……えっ?咲良ちゃんよりも強いんですか?その人」
これより強い人がいる。
それを信じられるものがどれだけいるだろうか?
桃葉は率直な疑問を口にする。
「あぁ、強かった」
「えぇ……?」
河野粟生の断言に、桃葉は困惑と共に言葉を告げるのだった。
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