ダンジョンスタンピード
僕と桃葉の日常は基本的に変わらない。
学校に行って、配信して。
そんな日常を繰り返している。
「んー、今日は何かあったけ?」
「特にないわよ。いつも通り私たち二人で暮らしていただけよ」
ということで今、僕と桃葉は家の中で雑談配信をしている最中であった。
『コメント』
・そんなことより百合度が高すぎる……!
・二人でイチャイチャしすぎなのでは!?
・色々な意味でヤバすぎる……劇薬なんていうレベルじゃないよね、これ!
・二人隣り合って、互いの顔と顔を合わせあって、なおかつ互いの手を絡めて遊んでいる。もう恋人の域っ!
・よくよく考えてみればこの二人、風呂も、ベッドも同じなんだよなぁ。
とはいえ、もう話題は尽きかけているのだが。
「ほぼほぼ毎日似たような生活を送っているもんねぇ……話す内容にも困ってくる」
「そうよねぇ……何か始めようかしら?」
「えー、何する?」
「そうねぇ……ちょっと日本中旅してみる?色々な観光地とか回らない?」
「あー、いいねぇ。僕は生まれてこの方旅行とかしてみたことないし、してみたいかも」
僕が自分の住む場所から出たのは日本政府経由でやってきた自分への依頼をこなすために海外へと出向いた時くらい。
その時でさえも、何の観光地も現地の食べ物も食べずにとんぼ返りしてきた。
なんか白人と黒人が怖くて。
それゆえに海外要素をまるで楽しめていないのである。
「じゃあ、決まりね」
「うん」
そんな話を僕が桃葉としていた時。
ウゥゥゥゥゥゥゥゥーンっ。
急に僕の耳へと低い重低音が響いてくる。
「……っ!?」
いや、僕だけではない。それは桃葉も同様だった。
今、日本全土にこの重低音が響いていた。
「これは、ダンジョンスタンピードが起きた際のっ!?」
この警報音。
それはまさしくダンジョンスタンピードが起きた際に鳴り響くようなものだった。
「……っ」
警報音から僅かに遅れてスマホもけたたましく鳴り響き、ダンジョンスタンピードの発生を通知する。
「あらららぁ……僕の予想当たっていたかも?」
日本全土にパニックが広がっていく中で、僕は気の抜けた声を上げるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます