二回目の救援

 能力の方も一つ開放し、僕は順調に冥層を進んでいく。


「んな……?」


 そんな中において。


「何か聞こえた……?」


 僕はここ、冥層で誰か人の声が聞こえたような気して足を止める。


『コメント』

 ・えっ?こんなところで何か声が聞こえるわけなくない?

 ・さすがに気のせいやろ。

 ・ここじゃ無理だろ。

 ・こんなところに誰もいるわけないから安心していいよ。


 そんな僕の反応に対して、視聴者が見せる反応は芳しくなく、いるわけがないという否定的なものだった。

 いや、本当に聞こえたと思ったのだけど……。


「きゃぁぁぁぁあああああああああああああっ!」


 だが、ちょうどそんなタイミングで。

 さっきのが僕の勘違いではないと断言できるような大きな悲鳴が聞こえてくる。


「罠に引っかかったのかな?たまにあるんだよね」


 ここで戦闘できるとしたら日本最強の冒険者たちが集まった攻略組くらい……だろうけど、彼らの実力的にここで負けるとは思わない。

 となると、罠になってくるのではないだろうか?


『コメント』

 ・冥層転移はあまりにもひどすぎない?絶対に死ぬやん。

 ・えっ?それはヤバいだろ。

 ・さすがにそれは嘘……嘘じゃなかったら危険度跳ねあがるやん。

 ・ダンジョンってやっぱり普通に死ぬ危険性高いんだなぁ。

 ・やっぱダンジョンへと気軽に行ける現行制度ヤバくない?


 コメント欄も沸き立つ中、冥層の中を疾走していく。


「……おるな」


 声が聞こえてきた方に向かった僕。

 そこで見えたのは巨大なドラゴンであった。

 

「……ちょっと、怖いかも」

 

 ドラゴンが大きすぎて人間の姿が見えない……これでは、フレンドリーファイアをする可能性がないとも言えない……っ。

 いや、だが迷っている暇もないか。


「よっと」


 僕は迷うことなくドラゴンの口の中へとダイブ。

 自分を追従してくるカメラを抱え込みながらドラゴンの口、食道と通っていき、胃の中へ。


「……よし」


 僕はカメラへと映さないようにしながら千手観音を発動。

 ドラゴンの内部をぐちゃぐちゃに引き裂いていく。


「あとはぶち抜く」


 体の中をずたずたにし、間違いなくドラゴンは殺せた。

 そこから僕は迷うことなくドラゴンの体を蹴り一つでぶち抜いて外へと飛び出していく。


「んなんなっ!?」


 そして、外に出ると共に僕の目には。


『コメント』

 ・嘘でしょっ!?

 ・勇者たちじゃんっ!

 ・マジで……?

 ・あの人たちが死にかけていたの?

 ・なにこれ。


 多くの人たちが飛び込んできた。


「攻略、組……?」


 自分の前にいる人たち。

 それは日本において最強の冒険者たちであり、ずっと攻略組としてダンジョンの最前線を進んでいることになっている人たちであった。

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