最上位

 冥層での配信を始めた僕。

 そこで僕は多くの魔物に追われ、多くの魔物を撃退しながらどんどんと先へ先へと進んでいた。


『コメント』

 ・やばやばやばーっ!

 ・魔物多くねっ!?多くねっ!?

 ・えっ……?これ大丈夫なの?

 ・すげぇー。

 ・これが本当の最上位か。

 

 その最中。

 僕は大量の魔物に囲まれていた。


「どうやら巣の中に入っちゃったみたいだね」


 僕を囲っているのは一体一体が1トントラックくらいの大きさがある巨大な蟻の魔物である。

 数としてはおそらく、数千はいるだろう。

 もう辺り一面が蟻まみれである。


「さすがに冥層でただの身体能力オンリーはきついわ」


 これをただの身体能力だけで破るのは流石にキツイ。

 ここで死ぬとは思わないけど……それでも倒し終わるのに膨大な時間がかかってしまうだろう。


「ちょっと能力の方使っていくね」


 僕が出来るのは光武と観音菩薩だけではない。

 治癒能力やバフデバフの力は当然の配備である。


「ふんふんふーん」


 それ以外にも多くある……前世では光武と観音菩薩オンリーで戦っていたようなところがある。

 今世ではちょっと趣を変えて、あまり使ってこなかった能力の方を使っていこうかな。


「大地よ、割れろ」


 僕は跳躍すると共にまず言葉を一つ。

 ただそれだけでこの場の地面が大きく割れ、そこに蟻たちが大量に堕ちていく。

 これだけで魔物たちはジエンド。

 大半の蟻は完全に地割れの中へと吸い込まれてそのままその姿を消してしまう。


『コメント』

 ・えっ?何それ。

 ・やばぁ。

 ・ん?大量にいた魔物たちが一気に壊滅した。

 ・ナニコレ。


 だが、それでもいくつかは打ち漏らしてしまっている。


「雷霆よ」

 

 そんな相手に対しては雷だ。

 晴れの中であっても轟く雷が確実に残っている魔物を打ち抜いて殺してみせた。


「これが僕の能力。自然之王。ザックリと自然を操れるようになるというのも。台風や竜巻を起こしたり、地割れとか地震とかも起こせるんだよ」


 この能力ってばできることは多くて便利なんだけど、如何せん色々と出来る代わりに単純火力が低くてあまり使っていなかったんだよね。

 結局、雷よりも光線の方が威力あった。光の方が早いし。

 面制圧においても観音菩薩の方が上なのである。

 でも、配信上ならいい能力だよね?

 バリエーションあって、効果も派手。これ以上ないくらいに打ってつけだと思った。


「ということでこれくらいであれば僕は楽勝なんすなー、どんどんと先へ先へと潜っていっちゃうからねぇー」


 これから使う能力も定めた僕はそれからも意気揚々と歩いていくのだった。

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