雑談配信

 ショートの伸びは順調。

 投稿した五作品のうち、五本は伸びているという本当に驚異的な数値。

 全部が5000万回再生を超えるという圧倒ぶりだ。


「ということで今日は雑談配信!」


「じ、自分たちの方に寄せられてきた色々な疑問に対してサクサクと答えていく予定だよぉ」


 そんな中で、僕たちは雑談配信を始めていた。

 やることはこれまでの何よりも単純だ。ただ、色々とお喋りするだけ。お喋りの内容は視聴者から寄せられてきたもの。


『コメント』

 ・マジで待っていたっ!

 ・とうとうこの日が来たかぁー。

 ・こんにちはー!

 ・マジで本当に楽しみだった。

 ・いやぁー、何かいいわぁ。


 本当にカロリーの低い配信であるが、それでも視聴者たちは楽しみにしてくれていたみたいだった。


「ということで早速本題に入っていきましょうか。まずは最初の質問。これまで、ナナシちゃんはどうやって生きていきたのですか?」


「ぼ、僕の人生……?頼りになる人とか誰もいなくて、ずっとダンジョンに潜って毎日生活しているような感じ、だったよ?」


 僕の答え。

 これは半分嘘で半分本当だ。

 この生活は10歳までの僕であり、10歳から18歳までの間は日本政府がくれた家とお金で何不自由ない暮らしをしていた。

 日本政府に僕という存在を見つけてもらえたのは、前世の人生における大きな転機だったと思う……一度も、食事とかに誘ってくれなかったけど。

 大規模な、忘年会とかにも。


「き、君の過去からは本当に不幸エピしか……」


「だ、大丈夫だから!今は幸せだから!それに当時の僕は、別に自分が不幸とも思っていなかったし……普通に僕なりの生活は遅れていたからね?まぁ、ここら辺はいいよ。ほかの、質問とかにしてよ」


「そ、そうね……それじゃあ、これにしようかしら。私もちょっとだけ気になっていたのよね」


「何々?」


「えっと、前に冥層すら問題なく潜れるみたいな話をしていたけど、それは本当にできるの?」


「出来るよ?」


 僕は桃葉の言葉に頷く。


「えっ?本当にできるの?」


「うん」


 ここ最近の僕はちょっと高校で忙しくてガッツリダンジョンに潜るということができなかったせいで行けていないが、そもそもとして前世の僕が泊まりでダンジョンに潜って冥層を攻略するというスタイルだった。

 冥層に行くくらい簡単である。


「というか、そろそろGWだよね?ちょっと僕は冥層行ってこようかな。ちょ、ちょっとばかり格の違いを見せつけてしまう、かもね?」


 自分の前で驚いている桃葉と視聴者たち。

 それらを前にした僕は胸を張りながら答えるのだった。


 

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