百合配信

「コラボ配信とか言っても特にやることないんだけどねー」


「あ、あれかな?逆に雑談配信とか、そっちの方やればよかったかな?」


「あー、それは全然ありだったわね」


『コメント』

 ・雑談配信はマジで見たい。

 ・ナナシちゃんに聞きたいこといっぱいあるわ。

 ・ライナナてぇてぇ。

 ・見てぇー!雑談配信っ!

 ・基本的にダンジョンでの配信しかないからな!


「コメント欄を見ても歓迎する人多い……というか、ナナシちゃんに聞きたいことがある人多いみたいよ?普段はそういうのしないわよね?」


「う、うん……しないかな。ちょっと喋りの方に自信はなくてぇ」

 

「それなら私と一緒にしようか?」


「う、うん……それなら!」


『コメント』

 ・おぉー!

 ・来た来た来たァーっ!

 ・おっ、これは期待していいやつか?

 ・マジでナイスだわ、ライナちゃん。

 ・キタ━━━(゚∀゚).━━━!!!

 ・やっと色々溶けるのかな?


「じゃあ、次のコラボ配信は決まりね」


「う、うん!」


 ダンジョンでの配信。

 と言っても、潜る階層はそんなに深いわけじゃない。

 下層ですらも余裕のよっちゃん。

 特に弄することなく潜れるというのに、桃葉の方に合わせて中層潜ればそりゃ苦戦するはずもないというもの。

 ゆえに、僕たちの配信はどうしても気の抜けたものになってしまっていた。


「ま、まぁ……今も実質的に雑談配信のようなものだけどぉ」


「確かにそうね」


 今のところ配信の見せ場は雑談部分くらいだろう。

 戦闘は秒速。

 二人で戦闘する機会は一度もないと言える。


「……ごめんね?私の方が弱くて」


「そ、それは仕方のない話……僕の隣に立てるものの方がはるかに、珍しい」


 というか多分いないのではないだろうか?

 日本最強となんか手合わせさせられたけど、普通に完勝した。

 苦戦のくの字もなかった。


「私ももっと頑張るね?」


「も、桃葉は別に今のままでも大丈夫だと思うけど……へ、へへっ。僕も、桃葉もお金あるじゃん」


 TSした当初であれば金なかったが、今は別。

 下層から入手したダンジョンの品々を裏ルートに流すことで莫大な金を得ているため、今の僕は普通に金持ちの中の金持ちである。

 それに桃葉の方もお金あるし、両親も金持ちで良い親に恵まれている。

 その上で当人の学業もいいのである。

 わざわざここから焦って何かをする必要なんてない、はずである。


「うれしいことを言ってくれるじゃん。ほーれ、ご褒美だよぉ。すりすーり」


「わわっ!?」


 そんな思いでもって告げた僕へと桃葉は抱き着き、そのままほっぺすりすりしてくるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る