お風呂
桃葉の家。
そこは驚くほどに広く、彼女の家の財力を如実に表していた。
そんな家の中にあるお風呂場はそれ相応に立派であり、僕を圧倒するにはかなり十分であった。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああんっ!?」
「ほれ、ほれぇ!」
「なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!?」
そんなお風呂場の中で、互いに裸の中で僕は桃葉に体を洗われていた。
「あわ、あわあわ!?」
僕は自分の顔を真っ赤に染めながら桃葉の裸を見ないように目をつむって顔を上に持ち上げていた。
自分の隣に裸の女の子がいる……!僕の髪に触れている!
興奮と罪悪感と。
僕の中は実に荒ぶっていた。
「わしゃわしゃー」
「はふぅん……」
そんな中で、桃葉は楽しそうに僕の長い髪を洗っている。
「すっごいわなぁ……サラサラで綺麗!これはお手入れのし甲斐があるわぁー、くっさいにおいも一緒に消してしまおうねぇ?」
……。
…………。
………………な、長い。
桃葉に髪を洗われ続ける僕はそんな感想を抱く。
髪を洗っているのにどれだけの時間をかけるのだろうか?
「い、いつまで続くの?」
僕は自分の髪を洗っている桃葉へと疑問の声を投げかける。
「これだけ髪が長いとどうしても時間がかかっちゃうわよ。まだまだ時間はかかると思うから覚悟していてね?」
「……うそでしょ?」
だが、桃葉の答えは僕の希望に沿うものではなかった。
これだけやってもまだまだなの……本当に髪を切ろうかな。ショートカットでも似合うよね?毎回ツインテールにするのも面倒だし。
今は僕が転生したその日の髪形を続けているけど。
「それじゃあ、まだまだわしゃわしゃしていくからね!髪を洗い終えた後は体の方も洗っていくからそのつもりでいてね?」
「えぇっ!?な、なんでさっ!?」
「なんでもー!」
困惑と抗議の声を上げる僕に対して、桃葉は軽く受け流していくのだった。
それからしばし。
「長かった」
僕はようやく解放された。
ただ、お風呂場で体を洗われていただけではあるが、どっと疲れたような気がする僕は湯船に浸かりながら心の底からのため息を漏らす。
本当に疲れた。これでお風呂に入っていただけなんてとてもじゃないけど思えない。
「この後はしっかりと乾かして、そのもちもちの肌のために色々なスキンケアもしようねぇ?」
そんな僕の隣。
同じ湯船に浸かっている桃葉は意気揚々にまだまだあると明るく告げてくる。
「……ま、まだ続くのっ!?」
僕は笑顔で告げられる桃葉の言葉に驚愕の言葉を口にするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます