第二章 陰キャTS女子高校生爆誕!
新生活
想像にもしていなかった形で訪れた新生活。
「ほら、今日の夜ご飯だよ。ちゃんと食べてねっ!」
「あっ、うん……ありがとう」
「お風呂も沸いているからいつでも入ってね」
「えっ……あっ、はい。わかりました。ありがとうございます」
「お布団温めておいたから、今日は暖かくして寝てね?」
「はひっ」
僕は桃葉の家で、桃葉にお世話をされる。
そんな生活を送っていた。
「……いや、なんでっ!?」
桃葉がトイレのほうに行っている間、僕はその場で頭を抱える。
「えっ……?なんで、なんで僕は今、こんな生活をしているの?」
本当に疑問である。
何をどうしたら、いきなり同居する人が出来ているのだろうか?そもそもしっかりとした家に生活すること自体が非常に稀である。
十年ぶりくらいにはなると思う。
本当に、わからん。
「うぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええ」
僕は困惑で声を漏らすことしかできない。
そんな中。
「……すんすん」
いつの間にか僕の背後に立っており、その鼻を自分の頭のほうに押し付けていた。
「ひひゃっ!?」
全然気づかなかった。
い、一体いつの間に僕の背後を……っ!?
「……ちょっと匂う?」
そんな驚愕している僕をよそに、勝手に桃葉が僕の頭の匂いについて冷静に判断する。
「……っ!?そ、そんなに臭くないと思うよぉ……?」
「ちゃんと洗っている?」
「……ま、まぁまぁは」
桃葉の言葉に僕は頷く。
正直に言って、自分の髪が長すぎてあまり出来ていないところがあるけど。髪、長くとも邪魔だしバッサリと切っちゃおうかなぁ?
でも、今の人気は僕の見た目もあるだろうし……そうそう変えるのもなぁ。
「……ちょっと生乾きじゃない?いつもどれくらいかけている?髪を拭くのに」
「えっ……?頭を一分くらい振っているよ?これで大体の水滴が飛んでくよ」
「ばかっ!」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「髪は女の子の命なんだよ!ちゃんと丁寧に扱ってあげないとっ!」
「えぇ……いや、でもぉ。大変だしぃ」
僕は桃葉の言葉から逃げるように視線を外して、答える。
まともなお風呂なんて入ったことないし、本当にやりにくいのだ。入り方とかもいまいちわかっていない。
「よし!それじゃあ、もう一回私とお風呂に入ろうかっ!いちから洗いなおしてあげる!」
「えぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええ!?」
困惑して大きな声を上げながら、それでも僕は何もできずに桃葉の手でお風呂場へと引きずられていってしまったのだった。
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