コラボ配信
僕たち冒険者が魔物と戦う上で使うのが全部で三つ。
まず一つ目は魔力。
二つ目が魔法。
そして、三つ目がスキルである。
「くっ……この、負けないんだからっ!」
魔力はすべての基礎だ。
身体を強化したり、魔法やスキルを発動させる力の源である。これが尽きれば基本的にゲームオーバーとなる。
それでそんな魔力によって引き起こされる二つの力。
そのうちの一つである魔法はガチガチの理論である。
まず魔法は属性に分かれていて、火、地、水、風に分かれている。
魔法発動のプロセスとしては何の属性にも染まっていない魔力に属性を与えて属性魔力へと変換。そして、体の中にある属性魔力を体外に放出することで魔法となる。
それで、ただ属性魔力を体外に放出しただけでは大した威力の出ない初級魔法となる。
初級魔法から上の段階に持っていくためにはこれらの形を変える必要がある。
そのために必要となるのが魔法陣だ。
体外へと放出する際に魔法陣を展開することで初級魔法の在り方に変化を加えるのである。出す量を多くしたり、形を変えたりと。
しっかりと決められた魔法陣という形の中でしか発露させられない魔法。
それとは違い、もう一方の魔力によって引き起こされる力であるスキルは千差万別である。
魂に刻み込まれた力であり、発動を願いながら魔力を使うだけでスキルが発動してくれる。
その効果も千差万別、複雑である。
ちなみに僕の光武と菩薩観音様はスキルに分類される。
基本的に、僕はスキルの数が豊富でそれらによるごり押しが最も得意な戦い方もしれない。
普通に魔力も、魔法も使うけど。
「はぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!」
これが冒険者の力事情である。
そんな中、今自分の前で一生懸命戦っている桃葉はというと、魔法はあまり使わずに魔力とスキルを使うスタイルであるようだった。
おそらくは身体強化系のスキルと魔力による強化を重ね掛けし、スキルによって作り出した剣で戦っていくようなスタイルであると予測できる。
というか、実際にそんな風に僕の前で戦っているから間違いも、クソもないけどね。
「……にしても、普通に強いなぁ」
僕は桃葉を眺めながらその彼女の実力を冷静に分析する。
彼女が持つ力は普通にプロレベルだろう。
「やった!やりました!」
僕が勝手に後ろからその力を図っている間に、桃葉は戦いを終わらせてしまう。
「お、お疲れ様ぁ」
「うん、ありがとう。それで?どうだったかな?」
「えっ、あっ、問題なかったと思うよ?中層で戦う分なら何の問題もないだけの強さを持っていると思うかなぁ?」
「そう?それならよかったわ」
僕の言葉を聞いた桃葉は勝手に感謝の言葉を話してくれる。
「ただ、……それでもやっぱりあれは怖いかな」
「あれ?」
「ほら、イレギュラーエンカウント」
「……ぁぁ」
僕の言葉を聞いた桃葉が頬を引きつらせながらうめき声をあげる。
中層だけ、たまに下層クラスの魔物がうろついていたりなという変な現象があるのだよね。
このイレギュラーエンカウントこそが中層で冒険者の致死率を跳ね上げている要因である。
「やっぱり中層に潜るならイレギュラーエンカウントの対策は必須。せめて逃げられるような手段を持っておくべきだと思うかな?やっぱり」
「……あまり私は中層に潜らないから知らないけど、そんなに会うものなのかしら?」
「割と会うよ。そうだなぁ……じゃんけんで五連続負けるくらい?」
「け、結構会う感じがするわね」
じゃんけんで五連続負けるくらいの確率で死ぬと考えると相当嫌だろう。
「……ぁ、ほら。また」
ちょうど、こんなことを話していた最中に遠くのほうから一体の魔物が近づいてくる。
その実力としてはちょうど下層くらい……間違いなくイレギュラーエンカウントの敵であると言えるだろう。
「……っ」
僕の隣で桃葉は頬を引きつらせながら警戒心をあらわにしている。
まぁ、それもそうだろう。
以前はイレギュラーエンカウントのせいで命の危険へと瀕したわけだ。
警戒しないわけがないだろう……つ、つまりはだ。
ここでいいところを見せられればさらに好感度が上がってさらに捨てられずに済む可能性があがるというということだ。
「せ、せっかくだし……僕の強さ?というものを見せてあげようかなぁ」
こんなチャンスを逃せるわけがない。
僕は胸を張りながら意気揚々とそう宣言する。
桃葉は魔力とスキルを使っていたわけだから……僕は魔法を使っちゃおうかな!
「……いけるの?」
「問題なく」
僕は桃葉の言葉に即答すると共に自身の魔力を高めて立体的で巨大な魔法陣を描き始める。
「……えっ?」
そんな僕の様子を見て桃葉は困惑の声を漏らしている。
「ふふふ……冥層にも潜れる圧倒的な力を見よっ!」
僕はカッコいいポーズをとりながら魔法を発動。
「ガァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!!」
イレギュラーエンカウントの魔物を中心として吹き荒れた地獄の業火は一瞬にしてその魔物を炭へと変えるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます