2
「ごめんね~、俺の彼女なんだ!
日焼け止めは俺が塗るからね~!」
学さんが明るい声で男の人達に言うと、男の人達は恐い顔をしながらもすぐに去っていった。
「もう!学さん遅いよ~!」
「ごめんごめん、思ったより道が渋滞してた。」
そんな2人のやり取りが耳に入る。
でも、わたしは目が離せなかった。
目の前にいる創さんに。
「悪い・・・学に連れてこられた・・・。
お前達がいることは知らなかった。
俺はもう帰るから、楽しんで。」
創さんはわたしから視線を反らしながら言った。
「じゃあな・・・」
冷たい低い声。
わたしは、すごく嫌われちゃったの?
そんなに・・・嫌われちゃったの?
創さん、わたしは、あなたにすごく会いたかったです。
この2ヶ月間、ずっとあなたに会いたかったです。
声にならない想いは、涙になって溢れてきた。
「わ!友里大丈夫!?
ごめんね~、学さん達来るの待ってたからここから離れられなくて!
あいつらしつこくて怖かったよね!?
本当ごめん~!!
そして、学さんと創さん来るの秘密にしててごめんー!
サプライズだったの、先に言っておけばあいつらのことも怖くなかったのにね、ごめんーーー!!」
愛実が掴まれた腕を擦りながら謝ってくれる。
「ちょっと飲み物買ってくる、学さん行こう!
創さん少しよろしく!!」
そう言って、愛実と学さんはいなくなってしまった。
「・・・俺いても大丈夫か?」
さっきの冷たい声ではなく、優しく聞いてくれる。
わたしは小さく頷く。
「座るか・・・ほら。」
少し背中を触られ、身体がピクッと跳ねた。
わたしが座ると、創さんはわたしから少し離れた所に座り、2人で無言で海を見ていた。
「痕・・・すげーついたな、痛い?」
創さんの視線の先を見ると、わたしの右腕に手の痕がクッキリとついていた。
「痛いか?」
創さんが優しく腕についた痕に触れる。
「痛くないです・・・。」
創さんに触られた所が熱をもつ。
心臓がドキドキと煩くなる。
苦しいくらい胸がキュッとする。
「学達が戻ったら俺帰るから。
もう少し我慢してな。」
そう良いながら、創さんはバスタオルを広げ、わたしの肩に掛けてくれた。
「ありがとうございます・・・。
愛実が選んでくれた水着なんですけど・・・なんか凄くて・・・。」
「似合ってるよ・・・。
でも、そういうのは彼氏と一緒に来た時にした方がいいな・・・。
彼氏・・・できた?」
わたしは首を振る。
「創さん・・・」
「ん?」
「帰るんですか?」
「帰るよ・・・。」
無言のまま、数分が経った。
「あいつら・・・おせーな!!!」
全然戻ってこない愛実と学さんに創さんが怒りだした。
創さんがスマホを取り出し、学さんに連絡をしようとする。
「あーーーー・・・ダメだ。
あいつらにハメられた。」
「え?」
「今メッセージ来て、あいつら2人でホテル戻ってる。」
「えぇ!?なんですかそれ!!」
創さんは勢いよく立ち上がり、わたしを見下ろした。
「2人で遊んでく?」
突然の提案にわたしは固まった。
「お前がよければ、せっかく来たし2人で海で遊んでく?」
嬉しすぎる提案に、わたしは思わず笑ってしまう。
「遊びたいです!」
創さんはホッとした顔をした後、わたしの肩にかかったタオルをゆっくり取った。
「行こう。」
「はい!!」
学さんが持ってきた浮き輪を借りて、2人で海に入る。
「お前、浮き輪しろよ。」
そう言ってわたしに浮き輪をさせ、創さんは浮き輪を引っ張りどんどん海に入っていく。
「あ!創さん!わたしそろそろ足つかないです!!」
「大丈夫だよ、俺ついてるから。」
「えー!でも足つかないの怖いです!
・・・あ!!もう足ついてないです!!」
慌てるわたしに創さんは意地悪な顔で笑い、もっと深い所に進む。
久しぶりに見た創さんのその表情に、涙が出そうになるくらい嬉しくなる。
もう、会えないと思っていた創さんが目の前にいる。
また喋って、遊んで、笑ってくれている。
創さん・・・
わたし、創さんのことがやっぱり好きです。
もう少しだけ・・・
もう少しだけ・・・
頑張らせてください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます