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17時前に待ち合わせの駅に着き、創さんにメッセージを送る。
その数分後、スーツ姿の創さんが改札口から出て来て、出口の所に立っているわたしに気付き笑顔で手をあげてくれた。
おかしいな・・・。
創さんってこんなに格好よかったかな?
高校の時からみんながイケメンだと騒いでいたけど、「結構イケメンだよね~」くらいにしか思ったことがなくて・・・。
よく友達から「あのレベルのイケメンってなかなかいないよ!?」と怒られていた。
創さんがわたしに向かって歩く間、周りにいた他の女の人達がチラチラと創さんのことを見ている。
身長は180センチはあって、スラリとしているけど筋肉もついていることがスーツからでも分かる。
少し茶色い短髪の髪型は、「学校に入る直前に理事長から「それ地毛?」って聞かれて面倒だから短髪にしてる」と高校の時に話していたのを聞いた。
大きいわけではないけど二重瞼の目は、甘い目をしている。
よく日に焼けた顔から、チラっと白い歯が見えた。
「今日は雰囲気違うな、ちょっと分かんなかった。
そういうのも似合うじゃん。」
わたしの前に立ち、優しく笑いながら嬉しいことを言ってくれる。
恥ずかしくて下を向き、小さな声でお礼を言った。
「行くか、肉いっぱい食いたいんだろ?」
そう言うと、創さんは当たり前のようにわたしの右手を取り指を絡め歩き始めた。
「会社説明会どうだった?」
歩きながら聞かれ、わたしは一瞬返答に困った。
「あんま良くなかった?」
「いえ・・・会社説明会はすごく良かったんですけど・・・うーん・・・。」
説明会後の、あの男子のことを思い出してイヤーな気持ちになる。
「なに?男から誘われた?」
「え!?」
「当たりだろ?あるあるだからな。」
「そうなんですか!?」
「就活の時に知り合って付き合ったヤツもいたからな。」
「そっか、あるあるなのか。」
なんだかすごく気持ちが楽になった。
「連絡先聞かれた?」
「連絡先も聞かれましたし、彼氏いるかとか、お昼ご飯食べようとか、なんか色々。」
「それで?どうした?」
「電車に乗って逃げちゃいました。
お昼ご飯食べ損ねちゃって、家で軽く食べただけなんです。
お腹すごい減っちゃった。」
「ハハッ、大変だったな。
肉いっぱい食って機嫌なおせよ?」
「もう機嫌はなおってるので大丈夫ですよ。」
「あ、俺に会ったからか!」
冗談でも本当のことを言われ、何も言えなかった。
「なに顔赤くなってんだよ!」
創さんはすごい笑いながら楽しそうにしていた。
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