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土曜日の午前中、企業の会社説明会では多くの学生が集まっていた。
わたしもリクルートスーツを着て参加。
創さんのことはモヤモヤしていたけれど、リクルートスーツを着ると切り替えられた。
受付で大学と氏名を伝え、資料を受け取る。
広い会場の中、パイプ椅子に座った。
予定時刻ピッタリに説明会が始まり、12時前に無事に終了した。
会社の近くでお昼ご飯食べて帰ろうかなとお店を探していたら、肩を叩かれた。
「キミ、隣の席に座ってたよね?」
振り向き確認すると、言われてみれば隣の席に座っていた男子だったように思う。
「たぶんそうですかね?」
「それくらいの認識なんだ、キミ面白いね!」
何が面白いのかサッパリ分からず返事出来ずにいると、男子はペラペラと喋り始めた。
名前は?大学は?学部は?この企業受けるの?サークル入ってるの?
道端での質問責めに戸惑いながら、答えても大丈夫そうな質問だけ答えて、あとははぐらかしていた。
「で、彼氏いるの?」
急にそんなことを聞かれ、固まる。
「なんでですか?」
「そんな警戒しないでよ、こんな美人が隣の席に座ってたら当然追いかけるでしょ。
彼氏いないならさ、昼ご飯でも一緒に食べようよ?奢るし!」
「彼氏はいませんが、今は一人で食べたい気分なんです。ごめんなさい・・・」
自分としては結構強めに断ったつもりでいたけど、男子はその後も歩きながらずっと話し掛けてきた。
もう面倒になって、お昼ご飯を食べずに電車に飛び乗り、その男子から逃げた。
電車に乗りホッとしていると、スマホが震えた。
創さんからのメッセージだった。
《会社説明会お疲れ。
今日は何食いたいか決まった?》
短い文面なのに、それだけで心が温かくなった。
先週の金曜日に再会し、すごく強引だなと思うことも多かったけど、イヤな気持ちになるどころかドキドキが増すばかり。
創さんってやっぱり恋愛経験豊富なんだろうと尊敬ばかりだった。
さっきまでは、今日は創さんに会うかどうか悩んでいたけど、今は無性に会いたくなっている。
17時まで待てないくらいで、今すぐ会いたい。
自分にこんな感情があったことに驚く。
少しだけ考えて、返信をした。
《会社説明会行って来ました。
今日はお肉が食べたいです。
お肉沢山食べたいです。》
お昼ご飯を食べ損ね、今すごくお腹が空いているのでこんなメッセージになってしまった。
一度家に帰り、いつもより可愛い洋服を自然と選んでいた。
あまり可愛い服装は似合わないので、自分の中で似合うギリギリの可愛い洋服。
ストレートの髪の毛は少しだけ巻いて、ヘアアレンジをして結んだ。
最後に小振りのネックレスを。
男の人と2人で会うためにお洒落をしたのは初めて。
時計を見たらちょうど良い時間になっていたので、バッグを持って少し急いで駅まで向かい電車に乗った。
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