第5話 説教
グレートウルフを倒して魔石も回収した。
俺はケイレブを連れてジンとオリビアのもとに行く。
「二人とも大丈夫か?」
「はい・・・」
「な、なんとか」
二人とも外傷も見当たらないがやはり精神面的に参ったか。
俺はケイレブに続いて二人も連れてアイナのところに行く。
「アイナちゃん!」
「アイナ・・・」
オリビアとジンの二人はアイナの腕の傷を見て息を呑んだ。
「クレア、アイナの様子は?」
「これぐらいの傷なら私一人で十分治せます」
「それなら良かった」
現在アイナはクレアに治癒魔法をかけてもらっている。
アイナは未だに腕を押さえて痛みに悶える。
「クレア、少し失礼する」
俺はアイナに睡眠魔法をかけて眠らせる。
クレアがアイナの腕を治癒し終えて、俺がアイナを抱えて教会に戻った。
***
教会に戻った後、俺はクレアにアイナのことを頼んでケイレブ、ジン、オリビアの3人を呼んだ。
「ノアさん・・・」
「の、ノア先生・・・」
「・・・・・・」
3人とも暗い顔で俺を見る。
あれだけの自信があったんだ。
恐らく大した怪我もしずに今までやってきたんだろ。
「なんで呼ばれたか分かるか?」
俺の質問に誰も答えない。全員黙りだ。
「ケイレブ」
「・・・!」
俺に名前を呼ばれると一瞬震えて身をすくめる。
「なんでだと思う?」
「・・・俺が・・・一人で突っ走って・・・アイナに怪我させた・・・ことです」
「そうだ」
俺ははっきりとそう言った。
これに関してはちゃんと言いつけなくちゃならない。
「俺の実力はどうだった?」
「凄かったです。あの一太刀で分かりました。俺が何人いてもノアさんには敵わないって」
懲りたのかノアさん呼びになってるし。
まぁこれも一つの成長だな。
「俺の意見を聞くか?」
「はい。教えて下さい」
ケイレブは力強い目で俺を見てくる。
どうやら今回のことが彼にとっては大きなプラスになったっぽいな。
「ケイレブ、お前は一人で突っこみ過ぎた。パーティはあくまで互いを支え合って戦うんだ。お前の戦いかたはパーティ全体に不利益をもたらす」
「はい……」
「お前が自由に戦えるのは他のみんなのサポートがあったからだ。それを証明したのが今日の戦いだ」
「……はい」
サポートが無ければ簡単にやられる。グレートウルフがウルフより強いとは言えそこまで明確な力量差はない。
「お前はパーティの力を自分の力と勘違いしてる節がある。まずはそこをちゃんと認識するように」
「はい」
ケイレブは俺の言葉を聞く度拳を強く握りしめた。
個人的に言いたいことはまだあるがそれはまた後日でいいか。
俺はケイレブ一人から3人を見る。
「そしてこれから言うのはお前ら全員が持ってる短所だ」
「それは・・・」
「過信だ」
「過信・・・」
「そう、君ら全員、自分達の力を過信し過ぎた。ケイレブは勿論のこと、ジンもオリビアも自分達の力でどうにかなると思ってたんじゃないか?だから無謀にも突っ込んだんだろ?」
「うっ・・・」
「そ、それは・・・」
「別に助けに行ってもいいが力がないのに助けに行くことは返って状況を悪化させかねない。それを念頭に置いておくこといいか?」
「「「はい」」」
うん。これでみんな反省したようだし今日はこのくらいにしといてやるか。
「反省したようだし。説教はここまでだ。疲れただろう。今日はもう寝ろ」
「「「はい」」」
3人は自分の部屋に戻って行った。
俺はクレアとアイナのもとに行く。
「クレア、アイナの調子は?」
「大丈夫です。2日ほど休ませれば平気です」
「そうか。なら良かった」
「ノアさんも今日はもう休んで下さい。お部屋は廊下を出て一番奥の部屋です」
「分かった。クレアも時間を見て寝ろよ」
「はい、そうします」
部屋は意外と綺麗だな。クレアが綺麗にしといてくれたのかな?
ベットは結構ふかふかだな。
初日から色々とあったが彼女たちの時に比べれば全然マシだな。
さて、明日からはちゃんと授業をやるかーー。
でも今日はもう色々とあったしとっとと寝るとするか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます