第24話 連携の力

張暁と殷正、男、そして新たに加わった生存者たちは、翌朝早くに目的地へと歩みを進め始めた。生存者たちからは、この地域について多くの有益な情報を提供され、また必要な物資も分けてもらった。互いに助け合うことができることで、彼らの絆が一層強固なものとなりつつあった。


「次に向かう町には、まだ空だった家屋が残っているという情報がある」と、リーダーの女性が地図を示しながら説明する。「そこには別の集落の生存者たちもいるかもしれない。」


一行は意気揚々と前進したが、途中でまたもや新たな試練が待ち受けていた。急な嵐が彼らの進行を阻み、大雨と強風が視界と足元を悪くした。しかし、この時、張暁は幼少の頃に経験した嵐の避け方を思い出し、皆を安全な場所へ導いた。


「ここでしばらく嵐をやり過ごそう」と張暁が言うと、皆が同意し、避難場所に集まった。


嵐が過ぎ去るのを待ちながら、一行は次の計画を立てるための会議を開いた。殷正は以前から温めていたアイデアを提案した。


「この町に着いたら、私たちの証言を記録し、それをできる限り多くの場所に広める手段を考えたいんだ。ラジオや掲示板、何でも使えるものを使って。」


男が同じようにうなずきながら、「技術的な知識を持っている生存者たちがいれば、その協力を得ることも考えよう。電力の確保とか通信手段の修繕ができれば、大きな力になる。」


嵐が止むと、一行は再び旅を続け、ついに目的地の町へとたどり着いた。しかしその町も、期待以上に荒廃していた。それでも、いくつかの建物はまだ使える状態で、なんとか避難所として利用できる場所を見つけた。


ここで、生存者たちは挙手をして、それぞれのスキルを確認し合った。電気技師や元ラジオ局のスタッフ、医師までもがいることが判明した。これによって、彼らは次の行動を一層計画的に進めることができるようになった。


「まずは電力を回復させる必要がありますね」と、元電気技師の男性が言った。「それと、ラジオ塔を修理すれば、周囲の集落に呼びかけることもできるでしょう。」


一行は、非常に迅速かつ効率的に分担作業を行い始めた。男と電気技師は町の古い発電機を修理し、張暁と殷正、そして他のメンバーはラジオ塔の修復に取り組んだ。日が暮れる頃、ついに電力が復旧し、ラジオ塔も何とか稼働する状態に戻った。


その夜、一行はラジオを使って周囲の集落に呼びかけ、「長老たちの真実」と、現在彼らが必要としている協力を広く訴えた。初めての放送が無事に終了すると、皆が拍手をして喜び合った。


「これは私たちの最初の一歩だ」と張暁が言った。「まだ先は長いけど、この一歩が未来を変える始まりになる。」


その言葉に、皆の心に希望の光が灯り、彼らは夜の空を見上げた。星が瞬くその空に、彼らの新たな決意と希望が反映されているかのようだった。


試練の旅は続くだろうが、一行は助け合いながら新しい未来を見据えていた。

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