第23話 絶望の中の希望
張暁と殷正、そして男が立ち尽くす町のがれきの山は、彼らの心を重くした。目の前に広がる惨状は絶望そのもので、長老たちの暴力的な行動の結果がここにも現れていたのだ。
「ここで諦めるわけにはいかない」と殷正が強い決意を持った声で言う。「私たちの使命はまだ終わっていないんだ。」
男もその言葉にうなずく。「そうだ、悪夢は終わっていない。私たちはまだ、多くの人々に真実を伝える必要がある。」
その時、遠くからかすかに人の話し声が聞こえてきた。一行は注意深く音のする方へと向かった。瓦礫の影から現れたのは、驚きと安堵の両方が入り混じった表情をした人々の集まりだった。中には子供たちの姿もあった。
「助かった…!」張暁が小さく叫び、走り寄った。生存者たちは一行を警戒する様子もなく、むしろ歓迎するように出迎えた。
「ここにはまだ生き残っている人がいたんだ」と殷正が感激の涙を浮かべた。
生存者たちのリーダーと思われる年配の女性が前に出てきた。「私たちは、この町が破壊された後も何とか生き延びてきた者たちです。あの災害から逃れ、多くの困難を乗り越えてきました。でも、一緒に力を合わせれば希望を見つけられるかもしれません。」
短い説明の後、彼らは一行を生存者たちの隠れ家へと案内した。そこには、簡素ながらも衣食住が最低限整っている場所があった。特に食料は、地元の農業知識を活かしてかろうじて育てられたものであり、一行にとっては思いがけない祝福であった。
「ここで少しでも休んで行ってください」と女性が言った。「その間に、私たちもあなた方の話を聞かせてほしいです。」
夕食を囲んで、張暁と殷正、そして男は自分たちの目的を生存者たちに話し始めた。この崩壊した世界での旅路、長老たちが引き起こした惨状、そして彼らが目指している真実の告発。その話を聞いた生存者たちは、深い共感と驚きを持って耳を傾けた。
「私たちもその戦いに参加します」とリーダーの女性が宣言した。「力を合わせれば、私たちはもっと多くの人々にこの真実を伝えられるでしょう。」
この新たな仲間たちの決意に、張暁と殷正、そして男の心には再び希望の光が灯った。試練は続くだろうが、共に力を合わせて進むことで、道は開ける。彼らは新しい友と共に、次なる目的地へと再び足を踏み出した。
大地を踏みしめながら、一行は再び旅を続ける決意を新たにした。その先には、まだ見ぬ試練と希望が待ち受けている。
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